Column コラム

切ない曲が魅力のボカロP"ルワン"

画像出典:https://youtu.be/rg6DMGYCCW4

J-POPやダンスミュージックを中心にした楽曲が人気を集めるボーカロイド音楽界において、インディーロックやインディーポップなどのジャンルは、ややマイナーでマニアックなものとなっています。

ですが、キャッチーで耳に心地のいいインディー系の楽曲は、そういったジャンルに詳しくない若いボカロファンにも親しまれやすく、爆発的な人気を呼ぶ可能性を秘めていると言えます。

今回は、そんな期待のジャンルの中で存在感を放っているボカロP、ルワンの音楽を紹介します。

軽快でキャッチーなサウンドの中に、切なさを含んだ楽曲を観ていきましょう。

退廃的なボカロポップソング”ガールズエンドルーズ”

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「ガールズエンドルーズ」は、インディーポップやドリームポップの要素が強く表れた一曲です。

速いテンポにクリーンギターとリードシンセのサウンドが印象的なこの曲は、明るくてポップに徹した曲調ながら、その歌詞では「世界」の不条理さや無意味さ、それに対する諦めたような感情が描かれて、どこか退廃的な雰囲気を描いています。

多幸感のあるメロディが底抜けに爽快な一方で、歌詞のストーリーが思いっきりシニカルな空気感を演出します。

ただ軽快で疾走感があるだけでなく、ほの暗いルワンの世界観がうかがえるボカロ曲です。

幻想的で浮遊感漂うルワンの世界観”スーベニア・ルーミー”

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アコースティックギターとピアノの絡みが特徴の「スーベニア・ルーミー」は、インディーポップにカントリーなどのエッセンスも加わって、透き通るような清涼感にあふれたボカロポップ曲です。

羽毛の上を跳ねるような浮遊感の漂うリズムと、空気のように軽い初音ミクのボーカルがじっくりと情景を描き、少しずつサウンドが厚みを増してエモーショナルな感情を帯びていく曲展開も、ルワンの徹底的なこだわりが見られて印象的です。

センチメンタルで、まるで物語を読んでいるような気分になる繊細な名曲です。

初期の曲から確立されたルワンの個性”しるべのクジラ”

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「しるべのクジラ」は、ルワンの処女作として投稿された楽曲です。

最近の曲と比べると、メロディやコード進行に王道のJ-POPらしさが強く表れているのが分かります。

ですが、リードシンセの跳ねたメロディや軽快なアンサンブル、幻想的な風景を描く歌詞の描写などには、今に通じる個性がしっかりと感じられます。

当時まだ10代で、初の曲としてこれだけキャッチーでハイクオリティな作品を公開しているという点にも、ボカロPとしてのセンスと可能性が表れていますね。

ボカロ以外のオリジナル曲にも注目”Clown”

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ボカロPの中には自作曲をセルフカバーするのが定番の流れになっていますが、そういった本人歌唱ver.だけでなく、完全なオリジナル曲を投稿しているのもルワンの活動のポイントです。

この「Clown」は、持ち味でもあるインディーロック色にオルタナティブロックの色味が強く織り交ぜられて、アークティック・モンキーズなどの影響を感じさせるゴリゴリのサウンドが展開されています。

1分半という短い時間の中に、洋楽ロック的なエモさが詰まったインパクト大のキラーチューンです。

それでいて耳に残るキャッチーさも兼ね備えているので、従来のボカロファンからも高評価になっています。


キャッチーでポップなボカロ曲としてだけではなく、インディーロックやインディーポップの影響を受けた音楽としても完成度の高いルワンの楽曲の数々。

こういった音楽が、J-POPが主流の今の若い世代に受け入れられるのは、インターネットで音楽を聴くことが主流になった現代ならではのことと言えます。

また、「ボカロ音楽」という実質ジャンルレスなコミュニティの存在も、今の日本でややマイナーなジャンルの曲が人気を集められる理由になっているのではないでしょうか。

繊細で切ないサウンドを展開する彼の楽曲は、ボカロファン以外の人も必聴です。

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