"msy"ノスタルジックな楽曲が魅力のボカロP
画像出典:https://youtu.be/m-Xb0R2kJuk
2016年からインターネット上に楽曲を公開しているボカロP、msy(マスイ)。
歌ものボカロックの王道を行くキャッチーなメロディと、それを引き立てるシンプルなバンドサウンド、そして何より、ノスタルジックなストーリーを描く歌詞がその楽曲の魅力です。
彼の詞世界は青春の影の部分を刺激するストーリーになっていることが多く、聴いていて胸を締めつけられるような気持ちにさせられます。
注目度はボカロ音楽の中心地ニコニコ動画よりもYouTubeの方が高く、投稿曲は軒並み数万再生を記録しています。
さらに、曲だけでなくイラストや動画まで自作しているのも活動スタイルの特徴です。
作品の全ての部分を手がけるマルチな活動によって、確固たる世界観が作られています。
まっすぐに感傷を刺激してくる音楽に触れてみましょう。
msyの代表曲”過ぎて行け”
2017年11月に公開された「過ぎて行け」は、YouTubeでの再生回数が27万回以上と、msyの一番の代表曲として知られています。
疾走感のあるピアノロックに仕上がっているこの曲は、雨の日の風景の中でひとつの別れの物語が描かれる、ストーリー性の強いボカロックナンバーに仕上がっています。
どこまでも寂しげな雰囲気が漂う歌詞の情景描写は、軽快で耳に心地いいメロディが乗ることで、切なくもキャッチーな空気感を生み出します。
雨の日に聴きたくなるような一曲です。
情景描写が印象的なボカロナンバー”青に縋って”
「青に縋って」は、msyの持ち味である情景描写が特に印象的なボカロナンバーです。
タイトル通り、雲一つない「青空」がテーマのこの曲は、空の清々しさだけでなく、そこにぽっかりと穴が開いているような空虚さも併せて描き出すことで、何かが心の中から欠けてしまったかのようなノスタルジックな心情を表現しています。
サウンドは静と動の緩急を活かした作りになっていて、跳ねるような爽やかなメロディが歌詞のしんみりとした雰囲気をかえって加速させます。
先に紹介した「過ぎて行け」が雨の日の曲だとしたら、こちらは透き通るような晴れ空の日に聴きたくなる一曲です。
ポップさの中に織り交ぜたmsyの詞世界”太陽が嫌い”
シリアスでしんみりとした曲調の作品が多いmsyですが、「太陽が嫌い」はその中では珍しく、どこかおどけたようなポップなメロディを持つボカロ曲です。
それでいて、曲のテーマは「太陽」という「明」の象徴を嫌う心情になっていて、シニカルで切ない気持ちが吐露されています。
中盤でマイナー調のメロディを挟むところなど、曲展開も一筋縄ではいかないひねくれたものになっていて、遊び心あふれる一曲です。
その中でもサビの展開はしっかりとノスタルジックな雰囲気があって、彼の詞世界の持ち味が発揮されています。
感涙必至のボカロバラード”エイプリルと恋日記”
「エイプリルと恋日記」は、まるで小説を読んでいるような気分になるストーリー性の強い一曲です。
その歌詞では死んでしまった恋人への想いが繊細な心情描写で綴られていて、胸が締めつけられます。
ストレートな言葉選びで描かれる葛藤や後悔、寂しさといった感情は、まっすぐに心を抉ってくるのではないでしょうか。
切なさを誘うメロディや温かいサウンドといったmsyの持ち味が発揮されて、感涙必至のボカロバラードの名曲です。
以上、msyのノスタルジックで切ない曲の数々を紹介しました。
どの曲も緻密な情景描写で歌詞のストーリーが思い浮かんで、緩急の着いた心情描写に心を揺さぶられる名曲ばかりです。
記憶の中にある懐かしい思い出を刺激されたり、悲しい運命をたどる登場人物に強く感情移入させられたりする詞世界は、彼の最大の魅力です。
歌詞とメロディで聴かせる邦ロック・ボカロ曲が好きな方は、是非じっくりと聴いてみてください。
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