ボカロP"メル"が描くギターポップの世界
画像出典:https://youtu.be/pgJcij8YUsY
2014年にニコニコ動画へ自作曲を初投稿し、着実に人気を集めながらこれまで活動してきたボカロP・メル。
J-POPを基調とした楽曲が多いボカロ界において、洋楽ギターポップやインディーポップといったジャンルの要素を強く感じさせる音楽性で個性を発揮し、注目されてきました。
これまでいくつもの曲がVOCALOID殿堂入り(ニコニコ動画で10万再生)を果たしていて、その人気はボカロ音楽界でも不動のものとなっています。
そんな軽快なサウンドとボーカロイドの独特の声で描く、ギターポップの世界を紹介していきます。
メルのギターポップサウンドを体現した代表曲”翡翠のまち”
2016年4月に公開され、一度削除された後に2017年6月に再アップされた「翡翠のまち」は、メルのボカロPとしての代表曲といえる一曲です。
イントロから軽快なアコースティックギターの音色と初音ミクの跳ねるようなボーカルが響くこの曲は、まるで物語を読んでいるようなストーリー性のある歌詞と、それをポップに彩る心地いいサウンドが、メルのギターポップの世界観をまっすぐに体現しています。
曲調は明るいながらも歌詞は切なくどこか後ろ向きで、思春期の独特の不安定さ、揺らぎを感じられます。
再アップされてから既にニコニコ動画で10万再生を大きく超えていることからも、この曲の人気ぶりが分かりますね。
ボカロP×ギターポップの完成形”プリズム”
「プリズム」は、2018年9月時点での最新作です。
クリーンギターによるリフや軽快なリズムなど、メルの個性であるギターポップサウンドはそのままに、オーケストラサウンドを取り入れて、より壮大でドラマチックな音像が出来上がっています。
今までよりもさらに作り込まれたアレンジ、アンサンブルには、メルのクリエイター,ボカロPとしての大きな進化が感じられます。
ワクワクするようなダイナミックなサウンド展開は、ボカロ音楽とギターポップの融合の完成形と言ってもいいのではないでしょうか。
抽象的な情景を描くファンタジックな歌詞や、色鮮やかなアニメーションMVも合わさって、おとぎ話のような世界観が作り上げられている名曲です。
メル流のエモーショナルなギターロック”ヘウリスコーの愛し方”
軽快で優しいギターポップサウンドが持ち味のメルですが、元バンドマンということもあって、ロック色の強いエモーショナルな曲を手がけてもしっかりとその作曲センスを発揮しています。
2015年5月に公開された「ヘウリスコーの愛し方」は、キタニタツヤやmao sasagawa、LITCHIといったオルタナ系のボカロPが多数参加したコンピレーションアルバム「übel」に収録された一曲です。
the cabsを連想させるような手数の多い轟音ドラム、メロディアスに絡み合うポストロック調のギターフレーズ、そして切なさとエモさを両立させて内包した掠れるようなボーカルのメロディ。
普段のポップな楽曲と聴き比べると、その音楽性に驚きを感じる方も多いのではないでしょうか。
インディーポップ×ボカロP=”ゴールデンジャーニー”
「ゴールデンジャーニー」は、メルの楽曲の中でも特に洋楽的なインディーポップの色味が強い一曲です。
遊び心の溢れるメロディ展開や多幸感のある明るいサウンド、そして「図書室」「メリーゴーランド」「校舎の階段」といった情景が生み出すノスタルジックな空気感が印象的で、聴いていると甘酸っぱく切ない気持ちにさせられます。
子どもの頃に学校の図書館で外国の児童小説を読んでいるときのような、知らないはずなのにどこか懐かしい風景を見ているような名曲ボカロソングです。
作り込まれたギターポップサウンドとストーリー性たっぷりの情景を描く歌詞で、熱狂的なファンを生み出して根強い人気を誇ってきたボカロP,メル。
いい意味でボカロ離れした洋楽的な音楽性やアレンジセンスは、ボカロ音楽界でも唯一無二の存在感を放っています。
そんなメルが描くギターポップ、インディーポップの世界観に、これからも注目です。
関連するイベント・ミュージシャン