Report ライブレポート

チキンナゲッツ ファンと共に創り上げたサンパレスワンマンライブ

2018年、5月18日、福岡県を中心に活動している3人組のアコースティックロックグループ「チキンナゲッツ」のワンマンライブが福岡サンパレスで開催された。

これまで、毎年1,000人規模でのワンマンライブを行ってきた。

しかし、今回のワンマンライブの会場であるサンパレスといえば、大物アーティスト御用達のキャパ2,000オーバーのホールで、チキンナゲッツのようなインディーズにとっては音楽人生をかけた大きな挑戦であったと思う。

彼らにとってこの日はまさに人生の晴れ舞台だった。

18:00の開場を前に、サンパレス前にはこの日を待ちわびた大勢の観客が列を成していた。

印象的だったのが、彼らのメインファン層の20代後半~40代女性だけではなく、子どもからお年寄りまで、老若男女問わず様々な人がいたことだった。

特定の事務所に所属せず、ほとんど自分たちだけで宣伝を行い、泥臭く足を使って様々な場所で演奏し、チケットを売ってきた成果が見える1シーンだった。

特定の年代、性別に支持されるアーティストは数多くいれども、幅広い世代に支持されるアーティストはなかなか居ない。

彼らがこれまでどのように歩んできて、これからどう歩んでいくのか、開場待ちの列を見ながらそんなことを考えた。

昨年までのワンマンライブを見てきたファンにとって、今回のステージは衝撃を受けたことだろうと思う。

18:00に開場し、サンパレスのホールに入ると、窓をイメージしたような舞台装飾と、大型のLEDビジョンに表示されたチキンナゲッツのロゴが真っ先に目に入る。

今回の公演は撮影OKだったこともあり、一足早く会場に着いた観客たちがステージの写真を撮っていたのが印象的だった。

長年応援し続けているファンにとっては、彼らがここまでの舞台に立てるバンドへと成長したことを嬉しく感じたに違いない。

本公演スポンサーのPR映像が流れたりしながら、徐々に開演の時間が近づいていくと、会場の期待感や緊張感が高まっていく。

そして舞台が暗転。

まだチキンナゲッツの姿はステージ上になく、サポートメンバーが現れた。今回のサポートメンバーは彼らにとって欠かせない岡澤(Gt.),ウッディー渡辺(Ba.)、刀弥(Dr.)、そしてプロデューサーの茂村(Ag.Herp)の4人。

青色の照明とスポットライトに照らされ、短く力強いワンショットのフレーズを刀弥が刻む。そして始まったのは「SUNSHINE GIRL」のイントロ。

「オー・プリティ・ウーマン」を彷彿とさせるライブの始まり方に会場が高揚し、いつチキンナゲッツメンバーが現れるのか、期待が高まっていく。

再度暗転し、ゆっくりとサンパレスのステージを踏みしめるかのようにチキンナゲッツの藤本、村田、立石の3人が現れると、彼らの登場を待ち侘びたファンからは歓声があがった。

まるで夏を感じるかのような彼らのキラーチューン「SUNSHINE GIRL」によって、開演直後から会場の熱が高まった。

熱はそのままに、2曲目の「君に届け」へと続き、彼らの定番曲が次々に演奏されていく。

6曲目、いじめ問題をテーマにした「イカリヲアゲロ」の演奏前に、藤本が「本当にいじめ問題はすごく難しい問題だと思いますけど、僕らの歌や活動で1つでもいじめがなくなるためにこの活動を続けたいと思います」と話し、ギターを奏で始めると、会場は青色のサイリウムで埋め尽くされた。

チキンナゲッツがファンを大事にし、ファンに愛されているということを実感する場面だった。

そして、8曲目の「Going Down」では、大型のLEDビジョンを使い、彼らがアメリカに行った際に撮影された映像や写真をバックに、演奏するという演出が取り入れられていた。

「俺たちが見たアメリカに連れて行く」まるでそう言っているかのような演奏だった。

GoingDownの演奏後、サポートメンバーがステージからアウトし、チキンナゲッツの3人だけで3曲演奏された。

活動開始当初の写真がビジョンに映し出されると会場からは笑いが起こり、彼らも昔の話に華を咲かせていた。

そして、始まったのは「ボイス」。今はほとんど演奏されることがなくなった過去のライブでの定番曲だ。

イントロが始まると、昔から彼らを応援している長年のファンからは歓声とざわめきが起こっていた。

演奏が始まり、路上や小さなライブハウスで演奏していた昔の映像が背景に映し出されるのを見て、彼らの成長を確かに感じた。

他の楽曲とは違い、村田と立石もメインボーカルとして歌う「ボイス」。彼らの表情は小さなステージで演奏してた昔とは変わらず、純粋に音楽を楽しんでいるかのように笑顔だった。

人気曲の「サンセットビーチ」で会場の空気を温めたあとに演奏されたのは新曲の「Bacause you are you」。

チキンナゲッツらしい、全てを優しく包み込んで受け入れるような楽曲に、観客たちはただひたすらに聞き入っていた。

ライブも後半に差し掛かり、再度サポートメンバーがステージへイン。

村田がキーボードを弾く「これが僕の愛し方」に続いて演奏されたのはアッパーで軽快なノリの「君を迎えに行くよ」。

曲中では立石によるロングタイムのパーカッションソロが用意されていた。

音程がなく、メロディを奏でることのないパーカッションでのソロ、長時間続けるのは難しいと思っていたが、

そこは愛されるやんちゃなキャラの立石。パーカションのスタンドを叩いたり、床を鳴らしたりして、観客を一気に沸かせていた。

間髪入れずに「Amigo!Amigo!」へと続き、軽快な4つ打ちのダンスビートに観客たちはタオルを振り回しこの日一番の盛り上がりを見せていた。

「そりゃないぜセニョリータ」が終わり、公演のタイトルにもなっている「GO FOR BROKE」が本編ラストを飾った。

“何度でも 何度でも 当たって砕けろ GO FOR BROKE”という歌詞の通り、これまでチキンナゲッツは何回でも”当たって砕けろ”という精神で音楽と向き合ってきたのだろう。

そんな彼らの思いに応えるかのように観客もステージも一体となり、「GO FOR BROKE」と何回も何回も繰り返し歌っていた。

インディーズながらサンパレスでのワンマンライブに挑戦することは並大抵の決意ではできなかったと思う。

「GO FOR BROKE」ではそんな彼らの決意と音楽に対しての想いが伝わるステージだった。

アンコール。

再び舞台上に現れた藤本は「この社会的なメッセージを込めた曲をこの先も歌い続けたいと思います」と話し、「Witness」の演奏がスタート。

この世界で起こるテロや戦争などの悲しい出来事に対しての想いをぶつけたこの楽曲の背景では、

実際の9.11テロや、献花台に花を手向ける人、難民問題、貧困問題の写真が映し出されていた。

チキンナゲッツというバンドは優しく包み込むような楽曲、軽快なアッパーなチューンだけではなく、

「Witness」や「イカリヲアゲロ」などの社会的な問題に切り込んだ楽曲も演奏している。それが他のバンドとは一線を画した点だろう。

そして最後に演奏されたのは「サクラ色」。ファンは間違いなく、最後の最後に演奏されるのはこの曲だと確信していたはず。

藤本が感極まる場面もあり、最後のサビでは観客からの大合唱が沸き起こった。

この日、最後の楽曲にチキンナゲッツのメンバーだけではなく、サポートメンバー、観客、スタッフも一体となっていた瞬間だった。

これからもチキンナゲッツはどんどん成長して、もっと大きなステージに立っていく、きっと誰もがそう思ったことだろう。


今回、事務所やレーベルのサポートがないチキンナゲッツが、福岡サンパレスという大きな会場でワンマンライブを行ったことは間違いなく彼らの一世一代の挑戦だったと思う。

ファンや支援者を本当に大切にしてる彼らだからこそ、今回のサンパレスワンマンライブを成功させることができたのだろう。

人生最大のステージを終えた彼らはこれからもっと成長し、ファンを次のステージへと連れて行ってくれる、そう確信できたワンマンライブだった。

 

なお今回のワンマンライブの映像はDVDとして販売される予定とのことなので、会場でライブを楽しんだ方も、行けなかった方も改めてチキンナゲッツサンパレスワンマンライブをお楽しみに!


セットリスト

01. SUNSHINE GIRL

02. 君に届け

03. モンスター

04. 花

05. 次は僕があなたを守る番だ

06. イカリヲアゲロ

07. Don’t Give Up

08. Going Dowm

09. ボイス

10. サンセットビーチ

11. Because you are you

12.これが僕の愛し方

13.君を迎えに行くよ

14.Amigo!Amigo!

15. そりゃないぜセニョリータ

16. GO FOR BROKE

ENCORE

EN1. Witness

EN2. サクラ色

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