強いメッセージを描くボカロP"ヘルニア"
画像出典：https://youtu.be/KmPd1Bslr2Q
2016年からニコニコ動画やYouTubeにVOCALOID楽曲を投稿しているボカロP、ヘルニア。
その楽曲は、いわゆる「青春パンク」と言われるジャンルの王道を行くものになっています。
サウンドは疾走感のあるロックサウンドで、ボカロ音楽としては珍しく、生々しいバンド感が特徴です。
歌のメロディは明るくあっけらかんとしていて、それでいて聴き手の劣等感やトラウマを優しくすくい上げてくれるような歌詞には、人間らしい体温が宿っています。
メッセージ性の強い曲の数々には「救われた」「気持ちが楽になった」というコメントが数え切れないほど届いていて、歌詞の力強いメッセージこそ彼が支持される一番の理由だと分かります。
嘘くささのない、泥臭い救いの歌でインターネット上を中心に話題を集めてきた楽曲を聴いていきましょう。
ヘルニアの代表曲のひとつ”つかれた、やめたい、でも、まだ死なねえ”
2017年4月に公開された「つかれた、やめたい、でも、まだ死なねえ」は、ヘルニアの代表曲のひとつです。
上手くいかないこと続きで、周りに劣等感を感じて、「世の中は嫌な奴ばかり」なんて嘆いて……そんなことを考えながら、そんな考えを持っている自分自身にも嫌悪感を感じる。
こんな感情に、覚えがある方もいるのではないでしょうか。
きっと多くの人が感じたことがあるであろう気持ちを生々しく描いているこの曲は、そんな歌詞の嘆きの中にも開き直ったような意地を見せて「死ぬのはいつかでいいとする」と結論づけています。
明るい曲調も合わさって、スカッとした気持ちになれるボカロパンクナンバーです。
劣等感を昇華したボカロック”なんで生きてんだろうってすげえ思うんだ”
ヘルニアの音楽は、あまり楽しいとは言えない学生時代を過ごした人や、人生で日の当たる舞台をあまり経験したことがない人にこそ強く響きます。
歌詞のメッセージは劣等感や焦燥感を全て肯定して、隣で「ドンッ」と力強く背中を叩いてくれるようなものが多くなっています。
この「なんで生きてんだろうってすげえ思うんだ」でも、嘘くさい救いの言葉は一切なしに、「君が嫌いだった奴らだって まだヘラヘラ生きてらぁ 悔しくて死ねないなぁ」という「まだ生きる理由」を歌っています。
劣等感にさいなまれてきた人には、身もふたもないこんなメッセージこそ、本当の救いになるのではないでしょうか。
彼のボカロ音楽は、劣等感を前進への活力に昇華させたものだと言えます。
多くのボカロファンを勇気づけた名曲”取り柄のないクズだって生きてていいだろが”
「取り柄のないクズだって生きてていいだろが」は、YouTubeとニコニコ動画合わせて90万再生以上を記録している、ヘルニア最大の代表曲です。
その歌詞は「何者にもなれないと気づいた普通の人」への応援歌になっています。
ただ自分の凡庸さを嘆くだけではなく、自分より圧倒的に多い努力を重ねている人、自分より”頑張る才能がある人”を目の当たりにして、当然の結果として敗北を確信した劣等感を歌うこの曲。
そんな自分でも生きていこう、生きていたっていいと歌う歌詞は、おそらく作曲者本人の気持ちなのではないでしょうか。
「この曲に救われた」という声も多く、多くのボカロ音楽ファンを勇気づけてきた名曲と言えるでしょう。
ヘルニア待望の1st Full Album”BLOOM”
インターネット上で大きな支持を集めてきたヘルニアですが、2018年8月には、ファン待望の1st Full Album「BLOOM」をリリースしています。
これまで公開されてきた曲に新曲も追加されて全13曲が収録されたこのアルバムは、早くもボカロファンから大きな反響を呼んでいます。
どの曲もメッセージ性の強い名曲ぞろいで、ボカロファンはもちろん、自分の人生につまらなさや劣等感を感じて、行動する勇気が出ない人にはぜひ聴いてほしい名盤です。
そんな「BLOOM」は、ネット通販で取り扱い中となっています。
以上、ヘルニアの楽曲の魅力を紹介しました。
歌詞のメッセージ性はもちろん、ボカロックとして聴きやすくキャッチーだからこそ、その音楽はこれだけ支持されてきたのではないでしょうか。
嫌なことも多い人生で、意地を張って前に進む力がほしいときは、是非聴いてみてください。
関連するイベント・ミュージシャン
