ボカロP"はるふり"のシニカルな歌詞と曲の世界観
画像出典:https://youtu.be/lQXwM2hWUsI
2013年からインターネット上に音楽を公開しているボカロP・はるふり。
正確には、フリーの合成音声ソフト「UTAU」を使用する「UTAUP」と呼ばれるジャンルのクリエイターです。
ハイペースでの投稿を続けた末に、2015年1月に「右に曲ガール」が初のUTAU殿堂入り(ニコニコ動画で10万再生を突破)を果たし、一躍人気UTAUPの仲間入りを果たしました。
それ以降も一定のペースで投稿を続け、これまでに3曲が殿堂入り、他の曲も軒並み数万再生でYouTubeでも同じくらいの再生数を誇るなど、ボカロ・UTAU界を代表する作曲者の一人として知られています。
そんなはるふりの音楽性の特徴は、ジャキジャキのギターを基調とした王道の邦楽ロックサウンドと、難解で哲学的な言葉で描かれる、シニカルな歌詞です。
はるふりの音楽を聴いて、爽快で皮肉的な世界観に浸ってみましょう。
はるふりを代表する王道を行くボカロック”ナンセンスの塊”
2016年8月に公開された「ナンセンスの塊」は、ニコニコ動画とYouTube併せて30万再生以上と、はるふりの代表曲のひとつです。
独特のリードフレーズと歯切れのいいバッキングが印象的で、ボカロック・UTAUロックの王道を行く疾走感が感じられます。
ポップでキャッチーなサウンド・メロディながら、歌詞はそんな曲調とは違って、自虐的で皮肉な雰囲気があります。
名声や承認を求めて創作をしても、何も成果なんて出ずに枯れていく。かといって周りに合わせて世の中に従順に生きても将来は知れている。
そんな、何かを創ることにのめり込んで生きる人なら誰もが共感できるような葛藤が歌われて、ハッとさせられる歌詞です。
はるふりの魅力が詰まっています。
はるふり流に世間を皮肉ったメッセージソング”人類不適合者”
「人類不適合者」も、スピード感と切れ味のある、はるふり流のボカロックナンバーです。
あっけらかんとしたサウンドの雰囲気に反して、こちらの歌詞もどこか切なくてシニカルな表情がうかがえます。
進学、就職、結婚、老後、安定した人生……そんな世の中の「当たり前」に息苦しさを感じてしまう感情が歌われているこの曲の歌詞は、特に人生の節目が近いような人には強く響いてくるのではないでしょうか。
ただ安心して生き延びることだけを重視する世間を皮肉った、メッセージソングです。
ノスタルジックな詞世界が魅力のボカロック曲”車窓の彼女へ”
「車窓の彼女へ」は、普段は重音テトというUTAU音声を使うはるふりが、珍しくボーカロイドのv_flowerを使っている曲です。
その歌詞のストーリーははるふりとしては珍しく、青春感あふれるストレートな内容で、別れを思わせるノスタルジックな情景に切なさを感じさせられます。
それでいて、言葉選びにはまるで詩を読んでいるような巧みな表現が散りばめられていて、独特の詞世界が個性としてしっかりと表れています。
切ない雰囲気に、ギュッと胸が締め付けられるボカロックソングです。
切なくもシニカルな曲”美しい嘘に花束を”
2017年4月に公開された「美しい嘘に花束を」は、はるふりとしては珍しく、ミドルテンポの中で淡いメロディがくり広げられるミディアムナンバーです。
ゆったりしたリズムやスケール感の大きなメロディの中にもはるふりらしくキレのいいギターサウンドは健在で、ひと癖あるリードフレーズも、この曲では叙情的な雰囲気をより一層増す効果を発揮しています。
速いテンポのボカロック・UTAUロックだけでなく、こちらもおすすめです。
パンチの効いたギターロックサウンドと複雑な歌詞の構成で、独特の個性を作り出しているはるふり。
構成が王道のバンドサウンドなので、ボカロ・UTAUファンはもちろん、そういったネット音楽にあまり興味のないバンド音楽ファンにもおすすめの作曲者です。
是非一度じっくりと聴いてみて、シニカルな中にも熱いストーリーが込められた世界観に触れてみてください。
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