徹底的に「歌」の力を見せるバンド"カナタ"
画像出典:https://youtu.be/pXUAiADoPdk
広島発のオルタナティブ/ポストロック/シューゲイザーを基盤とした楽曲を展開する、カナタ。
鋭くエッジの効いたサウンドで展開される繊細な音像、そして詩的な表現の歌詞に確かな熱量を込める「歌」が、その音楽の魅力です。
どこかひんやりとした空気感を漂わせながらも、その芯にはロックバンドとしての激情が息づいているように感じられます。
2010年の結成後、メンバーチェンジや活動休止などを経たカナタは、2018年1月より新編成で活動を再開。
拠点広島から、確固たる世界観を発信し続けています。
そんな彼らの魅力を、楽曲を通して体感していきましょう。
カナタの代表曲”黒の虜”
2nd EPの表題曲としてリリースされた「黒の虜」は、カナタの代表曲のひとつとして知られています。
深く歪んで浮遊感の漂うサウンドにはシューゲイザーなどの要素が強く感じられる一方で、メロディアスなボーカルや静と動の展開で盛り上がりを作る曲展開には歌もの邦ロックとしてのキャッチーさもあって、バンド全体のサウンドから歌の一言ひとことまで、しっかりと「聴かせる」一曲です。
小説のような情景描写の後にサビで来る「ねぇ 愛して」には、「愛」を浪費するありきたりなラブソングとは違う確かな重みがあって、頬をはたかれるような強さを感じられます。
バンド初の全国流通盤リード曲”月になって”
カナタにとって初の全国流通盤フルアルバムとして、タワーレコードよりリリースされたアルバム「藍のうた」。
そのリード曲となった「月になって」は、彼らの曲の中でも特にキャッチーで、スッと受け取ることができる一曲に仕上がっています。
メロディアスなギターフレーズと耳に残るポップなサビは、全国流通という形でこのバンドを初めて知る人に届けるのにぴったりになっていて、まさにキラーチューンと呼べる曲です。
そんな中にもどろりとした低体温な激情はしっかりと込められていて、確固たる個性も表れています。
カナタの「歌」の魅力にフォーカスした”ひかり”
2ndミニアルバム「いつか」に収録された「ひかり」は、カナタの曲の中でも、特に「歌」の魅力にフォーカスが当たった一曲です。
サウンドは空間的な広がりや奥行きを演出する要素が強く、シンプルで音数が最小限のバンドアンサンブルを作り、曲の叙情的な雰囲気をより強調します。
ドラムの一発、ベースの一音、流れて過ぎていくような抽象的なギターフレーズ、ひとつひとつの音が曲の中心にあるVo.Gt.アンの「歌」を包んで色を付けていくようで、儚くておぼろげな希望が描かれる歌詞がより深く頭に染み入ります。
不思議な安心感と清涼感が感じられて、どこまでもこの中に浸っていたくなります。
粗削りなバンドの個性が滲み出る”遠い月”
「遠い月」は、2013年にMV公開と、カナタの中でも初期からの代表曲として知られる一曲です。
シューゲイザーに寄っている最近の曲と比べるとオルタナティブロック色、ポストロック色がより強く、サウンドメイクもより尖っていて、初期衝動的な勢いが感じられるのではないでしょうか。
いい意味で粗削りなサウンドからは、より生々しくエモーショナルなバンドの個性が滲み出ています。
その中でも、繊細なアンサンブルや突き抜けるような力を持ったボーカルは確かに活きていて、原石のまま殴りつけるようなパワーが感じられます。
よりバンドとして洗練された今のカナタとは違った魅力を持つ一曲として、おすすめです。
以上、緻密に構築されたサウンドと確かな「歌」の力で独自の表現を続けるバンド、カナタの楽曲を紹介しました。
シューゲイザー、オルタナティブロック、ポストロックが好きな方にとっては、突き刺さる魅力があったのではないでしょうか。
確固たる個性を持ったメロディや、聴き手を浮遊感で包み込むサウンドに、是非じっくりと浸ってみてください。
一度体感すると、抜け出せなくなる心地よさがあります。
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