バンド"パノラマメロウ"が描く感情
画像出典:https://youtu.be/GLE8I0nj_gc
福岡を拠点に活動しているロックバンド、パノラマメロウ。
「生と死」について、飲み込みやすく、それでいて決して穏やかではない表現で歌い続ける彼女たちの曲は、活動地域である九州を超えて、広く話題になりました。
2018年1月にはスピッツの草野マサムネ氏のラジオ番組「SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記」で注目ナンバーとして曲が紹介されたことで、その知名度は一気に高まり、全国的に名前が知られつつあったと言えます。
そんなパノラマメロウですが、2018年10月12日の下北沢ERAでのライブをもって活動休止を発表。
九州を中心に、邦楽インディーズバンドファンの間に大きな衝撃が走りました。
今回は、重く深いテーマで様々な感情を描いてきた彼女たちの楽曲をふり返っていきましょう。
パノラマメロウの知名度を一躍高めた”二本足の唄”
パノラマメロウの唯一のMV「二本足の唄」は、2018年9月時点で再生回数が36000回以上と、スマッシュヒットを記録している一曲です。
このMVが拡散されたこともあり、パノラマメロウというバンドの知名度が一躍高まることになりました。
人間を「二本足」と揶揄するように表現し、サビの「ねえ殺してよ 誰でもいい 早く」という言葉が胸を締めつけるような閉塞感を呼ぶこの曲。
首筋に両手を回して絞めるような苦しさと、背中から優しく抱きしめるような優しさが並列に感じられる、メロディアスで叙情的な一曲です。
決して激しい曲調ではないのにどこか緊迫感を感じるエモーショナルさが、静かに表現されています。
バンドのほの暗い雰囲気を生々しく描く”デパスも効かない”
生演奏の雰囲気を体感できる、ライブ動画も見ていきましょう。
「デパスも効かない」は、先ほどの「二本足の唄」と並んでパノラマメロウの代表曲のひとつです。
安定剤・睡眠導入剤として代表的な「デパス」をタイトルに冠したこの曲は、抑えきれない不安や葛藤といった感情を、エモーショナルな歌と演奏に変換して描き上げています。
「どうにかして消えておくれよ」と叫ぶサビは、聴き手の中にある負の感情を刺激してきますね。
演奏面でも安定を見せていて、ライブバンドとしての実力・魅力もしっかりと感じられる動画です。
パノラマメロウ最初で最後のミニアルバム”僕らの痛みを誰かの生きる希望へ変えられると信じて。”
「僕らの痛みを誰かの生きる希望へ変えられると信じて。」は、それまでデモ版のみリリースされていたパノラマメロウの、最初で最後のミニアルバムとして発表された作品です。
跳ねるようなリズムの中でかすかな希望を歌った「6」、草野マサムネ氏のラジオでも紹介された「血清」、メロウなバラードナンバーとして人気の「騙され続けた僕ら」、ついに音源化された代表曲「デパスも効かない」、肯定的な諦めの心情が見えるラストナンバー「オリオン」と、どの曲も強烈に耳に残る名曲揃いで、それまでの集大成と呼ぶにふさわしい作品になっています。
退廃的で心地いいほの暗さの中に、一筋の希望が見えるパノラマメロウの世界観。
「僕らの痛みを誰かの生きる希望へ変えられると信じて。」は、そんなバンドの世界観にじっくりと浸れる名盤です。
以上、パノラマメロウがこれまで残してきた楽曲たちを、動画で紹介しました。
不思議な温かさを感じさせるサウンドとメロディ、そしてVO.Gt.ゆいこの表現力豊かな歌声で、力強くエモーショナルに「生きる」ということを描いてきた彼ら。
「僕らの痛みを誰かの生きる希望へ変えられると信じて。」はiTunesでも配信されているので、バンドが活動休止になっても、その作品はいつまでも残り続けるでしょう。
彼女たちが描く感情の数々に揺さぶられた方は、是非その音楽を実際に手に取ってみてください。
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