ボカロPとバンド"Over Forte"の2つの魅力
画像出典:https://youtu.be/hnxhQnPwXYI
合成音声ソフトVOCALOIDを使って楽曲を作る「ボカロP」と、数人編成での生演奏を重視する「ロックバンド」。
音楽活動としては全く形の違うこの2つですが、最近ではボカロ出身者がバンドシーンで活躍したり、ネット上での音楽活動とバンド活動を並行して行うクリエイターも増えたりと、その垣根は小さくなっていますね。
今回紹介する「Over Forte」は、そんなボカロとバンドが混ざり合う時代において、独特の活動スタイルをとっているアーティストです。
「Over Forte」という名前でボカロを用いた曲をインターネット上で公開し、その一方でバンドとしてライブ活動や作品発表をする。
ボカロとバンド、ネット音楽とライブ音楽の境なく活動する方式は、現在の音楽界においても珍しいのではないでしょうか。
衝動的なギターロックサウンドで、バンドファンもボカロファンも魅了する彼らの楽曲を聴いていきましょう。
ボカロPとして支持を集める
Over Forteの名前を知っている方は、主にボカロPとして彼らを知ったパターンが多いのではないでしょうか。
打ち込み電子サウンドが人気のボカロ界で「ボーカル、リードギター、バッキングギター、ベース、ドラム」というオーソドックスな編成のバンドサウンドを奏でる彼らは、ロック系ボカロ曲、いわゆる「VOCAROCK(ボカロック)」というボカロPのジャンルにおいて注目を集めてきました。
「或る空想家の情景」は、彼らの作品でも一番広く知られている一曲です。
鋭利なギターサウンドと軽快なリズム隊のサウンドが絡み合うイントロ、ボーカロイド「IA」のハイファイな歌声がキャッチーなメロディをなぞるサビなど、ボカロックのド直球を行くキラーチューンに仕上がっています。
2018年8月の時点でYouTubeで5万再生、ニコニコ動画で7万再生を突破していて、Over Forteのギターロックの魅力が全開になった代表曲と言えるでしょう。
2017年11月に公開された「傍観者たる所以」も、Over Forteのボカロックの魅力が発揮された曲です。
ハイテンポで歯切れのいいバンドサウンドとエモーショナルながらどこか切ない歌メロ、哲学的な歌詞など、この手のロック系ボカロ曲が好きな方にとってはストライクゾーンど真ん中の一曲ではないでしょうか。
ボカロファンでなくても、邦楽ギターロックが好きならきっとピンとくるものがあります。
攻撃的なギターロック以外にも、軽快でさっぱりとしたソフトロックもボカロPとしての彼らの持ち味のひとつです。
4つ打ちのリズムと爽快でどこか優しいバンドサウンドが耳に残る「ストレンジクローバー」は、彼らの音楽性のうち、キャッチーで聴きやすい一面にフォーカスが当たっています。
口ずさみたくなるサビ、甘酸っぱいストーリー性のある歌詞など、青春の風を感じさせるボカロック曲です。
バンドとしても活動するOver Forte
ボカロPとしてのOver Forteの次は、バンドとしての彼らの魅力を紹介します。
作詞作曲者でギターボーカルのUMEを中心にバンドでも活動するOver Forteは、ボカロ曲の本人歌唱バージョンを数多くYouTubeやニコニコ動画上で公開しています。
UMEのボーカルは芯のあるハスキーさが特徴で、ナンバーガールやハヌマーンといった邦楽ギターロックの名バンドに通じるものがあります。
そんなボーカルに彩られた楽曲は、ボカロによる歌唱で生まれる爽やかさとは違った、いい意味で泥臭く人間らしい熱量が感じられます。
生楽器によるサウンドも合わさって、本格的な邦楽バンド曲としてバンドファンも楽しめますね。
「Shelter」は、バンドとしてのOver Forteが初めて公開したMVです。
それまではアニメーションMVで表現されていた彼らの世界観が、本人たちが登場する実写の演奏シーンで描かれたことで、ファンの間で話題になりました。
エモーショナルな邦楽ギターロックが好きな方には、間違いなく響く一曲ではないでしょうか。
ボカロPとバンド、2つの顔を両立させながら、双方のファンの間で話題を集めるOver Forte。
鋭くキャッチーなギターロックサウンドと哲学的な詞世界は、ボカロ音楽とバンド音楽の両方の魅力を併せ持っています。
彼らの活動をきっかけに、バンドに興味のなかったボカロファン、ボカロに興味のなかったバンドファンが新しい音楽を聴き始めた……ということもあるのではないでしょうか。
前進を止めない彼らの活動に、これからも期待が高まります。
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