バンド"嘘とカメレオン"がブレイクした理由

画像出典：https://youtu.be/lscuxZT45Io

オルタナティブでキャッチーで、どこかコミカルな5人組バンド、嘘とカメレオン。

2016年の終わりごろに突然のブレイクを果たしたことで、インターネット上を中心に各方面で話題になりました。

その反響は凄まじく、主催イベントに自主制作CDを100枚だけ用意していったら即完売し、無料配布DVDの自家通販をしようとしたら応募が400を超えて手に負えずあわてて受付を締め切るなど、誰よりもメンバー本人たちが自身のブレイクに翻弄されていたとか。

もはや自主活動インディーズの規模を超えてしまい、自力での運営が困難になりはじめていた彼らに救いの手が差し伸べられるように、2018年にはキングレコードからのメジャーデビューが決定。

嘘とカメレオンは、一気に邦楽ロックシーンの最前線へと躍り出てきました。

今回は、彼らが突然の大ブレイクを果たした理由にフォーカスを当てながら、その魅力を紹介します。

嘘とカメレオンのブレイクを語る上で欠かせないのが、彼らの知名度を爆上げするきっかけになった一曲「されど奇術師は賽を振る」のMVです。

2016年12月にYouTubeに公開されたこのMVはぐんぐんと再生回数を伸ばし、2018年8月現在は350万再生を突破。

これほどのスマッシュヒットの要因は、このMVのショートバージョンがTwitter上で爆発的に拡散されたことにあります。

楽曲の分かりやすいかっこよさ、キャッチーさはもちろん、Gt.Cho.渡辺壮亮が太めの体を激しく揺らしてギターをかき鳴らすビジュアルのインパクトが決め手となって、いわゆる「バズり」が発生しました。

嘘とカメレオンは、「印象的なMVがバズって知名度が上がり、一気にブレイク」という、インターネットが普及した現在の音楽活動の理想ともいえる売れ方を果たしたことになります。

他にも、似たような売れ方をしたバンドには"ポルカドットスティングレイ"が居ます。

嘘とカメレオンが「されど奇術師は賽を振る」のバズりだけで終わらなかったのは、彼らのバンドとしてのキャラクターがしっかりと立っていたことも理由として考えられます。

「紅一点の女性ボーカル＋楽器隊」という編成では、フロントに立つボーカル以外のメンバーの存在感が埋もれることも珍しくありません。

しかし、嘘とカメレオンは違います。

まず、頭を振り乱してヘドバンを決めながら歌うVo.のチャム(.△)はもちろん、存在感という点では、ある意味Gt.Cho.渡辺壮亮の方が大きなものを持っていると言えます。

ぽっちゃり体型からは想像もつかないアグレッシブなパフォーマンスを見せる彼の演奏姿は、一度見たら記憶に刻み込まれますね。

そんな渡辺とは打って変わって冷静に演奏するGt.菅野悠太、ステップを踏みながら渡辺に匹敵する動きを見せるBa.渋江アサヒ、バンド全体の異様に濃い雰囲気をほどよく中和してくれるDr.青山拓心と、他のメンバーもそれぞれちゃんと個性を持っています。

各メンバーがしっかりとキャラ立ちし、「パッと見てメンバーの区別がつく」ようになっているのも、ブレイクするために重要な要素でしょう。

ネット上でのバズりやインパクトのあるキャラクターといった話題性はもちろん、嘘とカメレオンがひとつのバンドとしてしっかり魅力的なのも、彼らのブレイクの大きな理由でしょう。

チープさとかっこよさのバランスをうまくとりながら耳に残るリードフレーズ、チャム(.△)の感情を舞い上がらせるようなボーカル、聴き手の体を揺さぶる疾走感のあるリズムワークで、それぞれの楽曲が邦楽ギターロックとしてハイクオリティに仕上がっています。

そんな曲の衝動を視覚的に描くMVも、作品を重ねるごとに大きな進化を見せていて、嘘とカメレオンが現在進行形で成長を見せているのが分かります。

一気に知名度が上がってから1年半を過ぎてもしっかりと人気を保っているのは、彼らの実力・魅力がしっかりと伴っているからこそでしょう。

Gt.Cho.渡辺氏の「動けるデブ」と称されるパフォーマンスをはじめ、パッと見のインパクトでブレイクしたキワモノのように見られることもある嘘とカメレオン。

ですが、バンドとしての彼ら自身やその楽曲にしっかりと魅力があるからこそ、嘘とカメレオンは一過性の話題になるだけでなく、メジャーデビューまで突き進むことができたのではないでしょうか。

ビジュアル、パフォーマンス、そして楽曲。彼らの魅力のひとつひとつにしっかりと意識を向けながら、これからの活躍に注目していきましょう。