"羊文学"というネオシューゲイザーバンドを紹介
画像出典:https://youtu.be/HC84nW9mpoo
「羊文学(ひつじぶんがく)」は、東京の下北沢を中心に活動しているロックバンドです。
その音楽性は様々なジャンルを内包していて、特にオルタナティブロックやシューゲイザーの要素を色濃く含んで、重厚な音像を生み出します。
そんなサウンドに生身の人間の感情を込めるVo.Gt.塩塚モエカの大人びた歌声も合わさって、独自の世界観を描いているのが羊文学の楽曲の魅力です。
これまでに3枚のデモと2枚のE.P.を発売し、2018年7月25日には待望の1stフルアルバム「若者たちへ」もリリース。
FUJI ROCK FESTIVAL ROOKIE A GO-GOにも出演を果たすなど、若手インディーズの中でも飛びぬけた注目度を獲得しつつあります。
そんな羊文学の楽曲の魅力を紹介していきます。
穏やかでメロウな羊文学の代表曲”Step”
「Step」は、2017年10月発売のデビューE.P.「トンネルを抜けたら」のリード曲です。
出だしから穏やかで優しい音色が漂い、体全体が柔らかい音の毛布で包まれるような浮遊感を感じさせてくれるこの曲。
そこにノスタルジックで淡いストーリーを描く歌が合わさって、メロウな空気感を演出しています。
シューゲイザーやインディーロックのエッセンスをたっぷり含んで独自の情景を描くこの曲は、羊文学というバンドの魅力がまっすぐに表れた、代表曲といえるような一曲です。
淡い音像と歌詞で描く羊文学の世界観”マフラー”
2nd E.P.「オレンジチョコレートハウスまでの道のり」に収録された「マフラー」。
YouTubeでのMVの再生回数は10万回を超え、こちらも羊文学の代表曲となっています。
静かに刻まれるギターと重たいリズムによる、ひんやりとした淡い音像から始まるこの曲は、徐々に光が射していくようにサウンドが展開して、サビにかけて感情が高まっていくようになっています。
それに合わせてVo.Gt.塩塚モエカの歌声も、呟くような歌い方からハスキーで力強いものに展開していって、静と動を巧みに操って感動を誘います。
歌詞は景色の描写が多く、いくつもの風景を通して、聴き手に切なくてほろ苦い物語を連想させます。
この情景的な詞世界も、羊文学というバンドの世界観に欠かせない重要な要素です。
爽快で浮遊感の漂うバンドサウンド”天気予報”
最新アルバム「若者たちへ」に収録されている「天気予報」は、羊文学らしい浮遊感や切なさはそのままに、やや明るめな雰囲気が印象的な一曲です。
その中には洋楽ギターポップやインディーロックの要素と、スーパーカーやきのこ帝国といった国内シューゲイザーバンドの先人たちの要素を感じさせて、それぞれのエッセンスが混ざり合ったネオシューゲイザーサウンドが展開されています。
そのサウンドに塩塚モエカの憂いのある歌声が合わさることで、明るすぎず暗すぎない、絶妙な温度感が実現しています。
どこかファンタジックで夢心地な印象も感じさせる、名曲です。
ロックバンドらしい、疾走感のある一曲”ドラマ”
「天気予報」と同じく、アルバム「若者たちへ」に収録されている「ドラマ」。
ゆったりしたメロウな曲が多い羊文学としては珍しく、速めのリズムワークと疾走感のあるコードストローク、ゴリゴリに響くベースの絡みが印象的なロックナンバーです。
塩塚モエカの歌い方も力強くストレートな一面が発揮されていて、その裏で鳴り響くシャウトと合わさって、エモーショナルでどこかカオスな雰囲気が生み出されています。
攻撃的で鋭いロックバンドとしての一面と、叙情的な一面を併せ持った曲です。
「青春時代が終われば 私たち 生きてる意味がないわ」という歌い出しから始まる歌詞も、青春の空気感や焦燥感、ため息が漏れるような諦めの心情が感じられて、切ない気持ちにさせられます。
シューゲイザー、オルタナティブロック、インディーロック、ギターポップ……様々なジャンルの要素を取り込み、自分たちの独自の個性として昇華させた羊文学の楽曲たち。
その圧倒的な表現力と繊細なアンサンブルは、若手離れした確かな存在感を放っています。
これからの邦楽バンドシーンで、ますますその立ち位置を確固たるものにしていくである羊文学に、今から要注目です。
関連するイベント・ミュージシャン