ボカロP"バルーン"が見せる世界観
画像出典:https://youtu.be/TA5OFS_xX0c
動画サイトにVOCALOID楽曲を投稿する「ボカロP」として、2013年から活動しているバルーン。
2016年頃から注目のボカロPとして一気に頭角を現しはじめて、「花瓶に触れた」「シャルル」といった代表曲のスマッシュヒットで一気に2010年代を代表するボカロPの仲間入りを果たしました。
耳に残るギターリフや4つ打ちのリズムを多用した王道のボカロックサウンドを主軸にしながら、どこか癖のあるメロディで独特の空気感を生む音楽性が特徴のバルーン。
動画では人気絵師のアボガド6とタッグを組むことが多く、異国情緒あふれる絵本のようなイラストが楽曲の世界観をより引き立てています。
さらに、最近では「須田景凪(すだけいな)」名義でシンガーソングライターとしても活動を開始し、次世代の米津玄師になり得る存在として注目を集めています。
今回はそんな彼の、ボカロP「バルーン」としての楽曲に注目して紹介します。
バルーンのボカロPとしての人気を決定づけた「シャルル」
2016年10月に投稿された「シャルル」は、バルーンにとって初のミリオン(ニコニコ動画での100万再生)達成曲となり、彼の人気を決定づける作品になりました。
弾いてみた動画や歌ってみた動画などの二次創作も爆発的にブームになり、2016年を代表するボカロ曲のひとつとなっています。
イントロから4つ打ちサウンドとテクニカルなギターフレーズが印象的で、良い意味でいかにも「ボカロ曲」な雰囲気があります。
リズムワークやアレンジからは、現在は米津玄師として活動する伝説的なボカロP・ハチの影響を受けつつも、それを独自の個性に昇華させているような印象を受けます。
サウンドは明るめでメロディもキャッチーながら、歌詞は「愛を謳って」「笑い合ってさよなら」「ほらね 僕らは変われない」など、幸福ではなかった別れの物語を連想させる言葉が多くなっています。
このどこか影がありながらも決して暗くはない雰囲気は、バルーンの持ち味のひとつと言えるでしょう。
軽快でキャッチー バルーンの王道ボカロック「雨とペトラ」
「雨とペトラ」は、高速4つ打ちドラム、早口ボーカルのサビなど、ボカロックの王道をいくキャッチーなキラーチューンです。
その一方で、ギターのサウンドやメロディにはどこかサイケデリックな響きがあったりと、一筋縄ではいかない強い個性が垣間見えます。
歌詞は諦めや退廃といった、どこか影のある情景を想像させるものとなっていて、「頬を濡らしてしまう」といった「シャルル」との共通ワードも印象に残ります。
Twitterではバルーン本人が「雨の日に人を待ってるときに聴くといい感じになります」と語っているので、試してみてはいかがでしょうか。
ボカロPならではのバラード曲「朝を呑む」
テンポの速いものが多いバルーンの楽曲ですが、じっくりと聴きいるようなバラード曲にも注目です。
壮大で感傷的なバラードナンバー「朝を呑む」では、主なにflowerというVOCALOIDを使用するバルーンが、珍しく初音ミクを使っています。
歌詞からは大切な人との思い出や別れが連想されて、シンプルなギターロックサウンドがその情景に肉付けしてドラマチックな抑揚をつけています。
アップテンポに感情を煽るのではなく、サウンドの展開とストーリー性で聴き手の心をじわじわと揺さぶってくるような名曲です。
バルーン本人によるカバーにも注目「レディーレ/バルーン(self cover)」
人気ボカロ曲は、ボカロP本人による歌唱動画もファンの楽しみのひとつですよね。
バルーンも、自身の楽曲を自ら歌ったセルフカバーを多く投稿しています。
シンガーソングライターとしてデビューするだけあって、本人歌唱動画の方も聴きごたえたっぷりです。
より感情がダイレクトに伝わる人間ボーカルで、ハスキーな男性声ということもあって、ボカロ版とはまた違った印象を感じさせるカバーとなっています。
シンガーソングライターの須田景凪としての活動から彼を知った方は、こういったボカロP時代の曲のセルフカバーにも注目です。
ボカロ音楽というジャンルの枠を超えて、邦楽ロックシーンにおいて注目のアーティストとなっているバルーン/須田景凪。
耳にスッと入ってくるキャッチーさと脳裏に引っかかる独特のメロディセンスが魅力の彼は、これからますます広く人気を集めていくこと間違いなしです。
そんな彼の音楽活動の原点でもあるボカロ楽曲の数々を、是非一度聴いてみてください。
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