謎のバンド"まちがいさがし"の魅力
画像出典:https://youtu.be/pMCJDlHZ87M
インターネット上で密かに話題を集めているバンド「まちがいさがし」。皆さんは聞いたことがありますか?
YouTubeでのMV公開が活動の主体で、宮城出身ということがかろうじて分かる以外、ほとんどの情報が謎に包まれている彼ら。
ライブなどもほとんど行われていないようで、ミステリアスな雰囲気を漂わせながらも、切なくキャッチーな楽曲の数々で注目度を高めてきました。
そんなまちがいさがしの音楽のテーマは「自己内省」となっていて、その楽曲は自分の内面をひたすら見つめ、向き合うようなものになっています。
誰もが経験のある、特別でもドラマチックでもない日常の中の感情を切り取って歌い上げていく様は、まさに徹底的な「自己内省音楽」と呼べます。
スマッシュヒットしたまちがいさがしの代表曲”ラヴソングに騙されて”
「ラヴソングに騙されて」は、2018年8月の時点でMVが60万再生を突破するなど、まちがいさがし最大のスマッシュヒット曲となっています。
ローファイで低テンションなギターロックサウンドは、軽快で耳に心地いいインディーロックのエッセンスを強く感じさせます。
そんなサウンドに乗る歌詞では、世の中にありふれた「ラヴソング」のつまらなさと、そんなラヴソングに感動したふり、救われたふりで日々をやり過ごすことへの自嘲気味な笑いが描かれています。
皮肉たっぷりで、それでいてどこか切ない、まさにバンドの代表曲といえる一曲です。
バンドのテーマが前面に押し出された”生活はその日のために”
何のドラマもない、先の見えない毎日を描いた「生活はその日のために」は、まちがいさがしのバンドとしてのテーマ「自己内省」が前面に押し出された一曲です。
その中で歌われるのは、同じことのくり返しの毎日、逃げ場のない人生、そしてそこに漂う閉塞感です。
特別なドラマなんて何もない人生、その中を生きていると、「このまま何も起こらず死んでいくのかな」という気持ちになることもあるのではないでしょうか。
そして、そんな不安や諦めの感情から逃れるように「いつか『全部はこのためだったんだ』と思えるような劇的なハッピーエンドがくる」と妄想してみることもあると思います。
そんな「生活はその日のために」と思えるような一日を求めて、今日も同じ毎日をくり返していく。
メンバー全員が社会人のバンドとして活動するまちがいさがしがこのテーマを歌うからこそ、そこには残酷なほど生々しいリアリティが息づいています。
まちがいさがし流の青春ソング”夏に遠回りする”
「夏に遠回りする」は、自分の部屋にこもっているうちに夏を逃し、「遠回り」することになった心情を歌う一曲です。
そこには後悔や諦めがノスタルジックなメロディに乗せて描かれていて、「いつまでもどこまでも宿題が そこにあるそんな気がした」「手つかずの夏は通り過ぎてゆく」といったワードが、決して楽しくは思い出せない日陰の青春の風景を連想させます。
「あの日あの時の憂い」を歌う、まちがいさがし流の青春ソングです。
バンド屈指の名曲”少しずつどうでもよくなる”
YouTubeでの再生回数は現時点で7万回を超え、「ラヴソングに騙されて」に次ぐまちがいさがしの代表曲となっている「少しずつどうでもよくなる」。
優しく繊細なサウンドとメロディに乗せて寂しげな別れの心情が描かれたバラードナンバーで、バンドの中でも屈指の名曲として人気を集めています。
新しい場所への旅立ちのときに避けては通れない、慣れ親しんだ人たちとの別れ。
それは大きな寂しさや不安をもたらすものですが、新しい場所になじんでいくにつれて、そんな感情は薄れていき「少しずつどうでもよく」なっていきます。
そうやって消え去っていく感情をふと思い出したときのどうしようもない切なさが形になったこの曲は、静かに聴き手の心を揺さぶって涙を誘います。
バンドとしては異色の活動スタイルをとっているまちがいさがしですが、その楽曲は「自己内省」というテーマのもとで確固たる世界観を作り出しています。
決して激しくはなく、過剰にドラマチックではなく、矛盾を抱えながらなんとかバランスを保っている心の中にほんの少しの揺らぎを与えて涙を決壊させるような、繊細な感動をもたらします。
「普通の人」の日常の中にある心情を描くことで、誰もが共感できる物語を描くまちがいさがしの楽曲たち。
是非一度聴いて、そのセンチメンタルな風景に触れてみてください。
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