「メジャーデビュー」と「全国流通」の違いとは︖
昔から多くのバンド・アーティストに目指されてきた「メジャーデビュー」。
音楽界ではよく聞く言葉ですが、意外とこのメジャーの詳しい意味を知らない方も多いのではないでしょうか?
また、同じように音楽界でよく聞かれる言葉として「CD全国流通」というものがありますよね。
この2つの言葉が持つ意味が同じものだと思っている方もいるのではないでしょうか。
ところが、実はこの2つのワードは、似ているようではっきり違いがあります。
そこで、今回は「メジャーデビュー」と「全国流通」それぞれの意味を解説して、その違いを紹介していきます。
「メジャーデビュー」と「全国流通」の違い
「メジャーデビュー」とは?
「メジャーデビュー」というのは、日本レコード業界に入会している大手のレコード会社からCDをリリースすることです。
この大手レコード会社は、ビクターエンタテインメント、ユニバーサル ミュージック、エイベックス・エンタテインメント、ワーナーミュージック・ジャパンなど現在10数社があります。
デビューを果たして大手レコード会社に所属することで、プロモーションやマネジメントなどの面でも大きなバックアップを受けてヒット作を生み出せる可能性が大きくなるので、多くのアーティストがメジャーを目指してきました。
「全国流通」とは?
次に「全国流通」ですが、これはその言葉通り、「CDを全国的に流通させること」を指します。
今は個人でもAmazonに商品を出品したり、ネット通販サービスでCDを販売できる時代ですが、これはそういった自主流通とは違い、タワーレコードやHMVなどの大手CDショップの店頭にCDが並ぶことを指します。
日本レコード協会に所属していない、いわゆる「インディーズレーベル」でもCDの流通を手がけてくれるので、必ずしも「全国で流通を果たす=メジャーデビューする」ではありません。
メジャーデビューしていなくても有名インディーズレーベルから全国で流通させることでヒットが生まれることもあり、逆にメジャーのアーティストでも「配信のみでリリース」など、CDの全国流通には至らない場合もあります。
また、「大手レコード会社の傘下のインディーズレーベルからCDを全国で流通して、その売上を見てからデビューを決定」のようなケースもあるので、メジャーに行く前に全国流通デビューは果たしてしまう、ということもあります。
昔と違い、必ずしも「メジャー」が目指されない現代
昔はアーティストが音楽で生計を立てる唯一の手段として「メジャーデビュー」が目指されていましたが、今は以前とは違い、必ずしも全てのアーティストがメジャーを目指す時代ではありません。
その理由のひとつとして、現代ではメジャーではなくても全国で流通を果たす手段がいくつもあることが挙げられます。
インディーズレーベルの発展や、個人でもCDを全国に流通するように委託できる「ディストリビューター」の存在、ネットを活用した宣伝方法の多様化などもあって、メジャーレーベルに所属せずにヒットを生み出してしまうアーティストも増えてきました。
逆に、今はメジャーレーベルに所属してもあまり大きなプロモーションをしてもらえないことも多く、「メジャーデビュー=売れる」とは限らない時代になっていて、昔ほどメジャーの旨味はなくなってきたと言われています。
さらに、「ボカロP」などのネット音楽のジャンルでは、全国で流通すらせずに、ネット通販やイベント会場での販売だけで数千枚のCDを売ってしまう例もあります。
1万枚も売れればオリコンチャートの上位にランクインできてしまう時代に、売上のほとんどを自分の利益にできてしまう自主流通で数千枚を売ることができるというのは、新しいヒットの生み出し方として、ものすごい可能性を秘めているのではないでしょうか。
時代の変化に合わせて、「メジャーデビュー」や「全国流通」という言葉の持つ意味合いは、また違いを見せてくるように思えます。
以上、「メジャーデビュー」と「全国流通」の違いを解説し、この言葉を取り巻く今の音楽界の変化についても少し紹介しました。
どちらも同じ意味だと思っていた方は、実は大きく違うこれらの言葉の意味合いに納得していただけたのではないでしょうか?
ネット社会の中で音楽業界のかたちも変革期にあって、昔と比べるとこの2つのステップが持つ重要性も大きく変わってきました。
次に音楽サイトや雑誌などで「メジャーデビュー」「全国流通」といった言葉を聞いたときは、その意味を思い出して、その後ろにある音楽業界の背景なども想像してみると、面白いですよ。
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