ストリーミング配信が主流の時代にアーティストは「食える」のか
Apple MusicやSpotify、Amazon Musicなど、定額でラインナップにある作品が聴き放題になる「ストリーミングサービス」。皆さんは利用していますか?
「CDが売れない時代」と言われるようになって長い時間が経って、iTunesなどのデジタル販売が盛んになり、さらに時代はこの「ストリーミング配信」という新しいステップに移りつつあります。
そして、受け取り手の音楽消費の方法が変わることで、音楽を作って販売するアーティスト側も、この時代の変化に合わせて新しい活動スタイルを模索しなければいけなくなっています。
では、ストリーミング配信が主流になっていく今の時代に、果たしてアーティストは音楽制作で「食っていける」のでしょうか?
ストリーミング配信の利益は1再生どのくらい?
ストリーミング配信で得られる利益を考えるにあたり、まずはストリーミング配信が実際にどのくらいの収益率なのかが分からないといけませんね。
2018年初めごろの情報では、ストリーミング配信から得られる収益は1再生0.4円~1.3円ほどとなっています。
他にも自分の配信結果を公表している方も多くいて、収益を再生数に照らし合わせると1再生0.2円~1円以上と多少ばらつきがあります。
再生時間などでも変わってくるのでしょうが、一時期YouTubeの広告収益の基準だった「1再生0.1円」と比べるとかなり高めに思えますね。
ストリーミング配信で再生回数を稼ぐ
では、実際にストリーミング配信によりどれくらいの収益を得た例があるのでしょうか?
ストリーミング配信による具体的な利益などはあまり公にされませんが、世界的に見ると、ストリーミングで莫大な再生数を記録したミュージシャンも多くいて、その収益も相当な額になっていると予想できます。
現在の音楽シーンは、アメリカを中心にヒップホップがロックやポップスを超える勢いで人気を博していますが、そんなヒップホップシーンのトップ層ではストリーミングで10億再生を突破したアーティストの例もあります。
先ほどの収益率から、低めに見積もって「1再生0.4円」という基準を当てはめても、ストリーミングだけで4億円以上の収益が発生していることになりますね。
これはトップ層の極端な例ですが、ここまで再生されなくても、ある程度知名度のある人気アーティストなら月に数十万~数百万再生は見込めるのではないでしょうか。
そうなると、月に十数万円~数十万円の収益が発生することになります。
日本ではファンアイテムとしてCDがまだまだ根強い人気を誇っていることもあるので、それと合わせたらストリーミングによる収益も十分「あてにできる」と考えられます。
結論:戦略次第ではアーティストは「食える」のではないか?
日本ではまだまだ発展途上な感じもあるストリーミング配信サービスですが、世界的に見ると、音楽作品のメイン収益はストリーミングに移行しつつあります。
ストリーミング配信の強みは、CDと違い、地域や国を問わず聴いてもらえる点にあります。
なので、これまでとは違ったファン層を取り入れたり、インターネットを活用して注目を集めることができれば、むしろCDの時代より多くの人に作品を知ってもらって、収益を得られる可能性もあります。
最近は個人で活動しているクリエイターがネット上で話題になって爆発的に人気を得ることも多いので、ストリーミングは今の時代により合ったシステムといえるかもしれません。
また、再生され続けるかぎり半永久的に収益が発生するので、新作のリリースなど話題を提供し続ければ、継続的に聴いてもらうことができるでしょう。
海外では実際に成功例もどんどんでてきてるので、ストリーミングは新しい収入源になり得る、つまり、『アーティストはストリーミングで十分「食える」』といえるのではないでしょうか。
今回は最近大きな流行を見せているストリーミング配信サービスについて、「収益」という視点から考えてみました。
普段音楽を聴く側の私たちにとってはあまり身近じゃない話かもしれませんが、十分な収益を確保できるかは、「そのアーティストが音楽活動を続けていけるか=私たちがその人の音楽をこれからも受け取ることができるか」に関わる問題です。
そう考えると、受け取り手の私たちにとっても無視できない話ですよね。
これからの時代、アーティストが活動を続けていけるようにするためにも、その作品を「聴く」というかたちで活動を応援していきましょう!
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