ヒトリエのwowaka ボカロP時代の曲をふり返る
画像出典:https://youtu.be/ZB75e7vzX0I
ニコニコ動画などのインターネット上で話題だったプレイヤーが集結して結成されたバンド「ヒトリエ」。
その首謀者ともいえるギターボーカルのwowakaは、元々はボカロPとしての活動で有名になりました。
数々のヒット曲を連発し、「ボカロ曲=速いテンポと音数の多い曲構成」というステレオタイプなイメージを作り上げた彼は、ボカロ音楽の黎明期を支えた存在といえます。
今回は、そんな彼のバンド結成前、ボカロP時代の曲を紹介していきます。
昔からのファンも、ヒトリエから彼のファンになった方も、是非この機会にふり返ってみましょう。
ボカロP時代からヒトリエに通じるセンスを見せていたwowaka
ヒトリエの音楽の特徴といえば、「疾走感あふれる高速テンポ」と「wowakaが歌う早口でキャッチーな歌メロ」ではないでしょうか。
このヒトリエの個性は、作曲者である彼がボカロPだった頃から曲に表れていました。
wowakaのボカロ時代の代表曲ともいえる「ワールズエンド・ダンスホール」は、ヒトリエにも通じる彼の作曲センスや個性がはっきりと分かる曲です。
独特の跳ねたリズムや、それまでのJ-ROCKの常識を覆すようなギターフレーズは、そのままヒトリエの曲の中に混ぜても違和感がなさそうですね。
余談ですが、この「ワールズエンド・ダンスホール」は、ヒトリエの楽曲「トーキーダンス」とリズムやフレーズが似ていることで話題になりました。
本人は特に関連性を持たせているわけではないそうですが、やはり同じ血が流れている曲同士ということで、その背景には同じ作曲者の顔が見えるような気がしますね。
「ワールズエンド・ダンスホール」は彼の個性が強く表れてまとまっている一方で、「トーキーダンス」の方はそれぞれのプレイヤーの個性がぶつかりあって、より強烈で豪快なサウンドを感じられます。
こちらもボカロ時代の代表曲「アンハッピーリフレイン」。
ギターを主軸にしたバンドサウンドは、やっぱり現在の音楽性に通じるものがあります。
手数の多いドラムと動き回るリードベースが疾走感を生み出し、独特の音づかいながらしっかりとキャッチーなギターが曲を彩り、まるで早口言葉のようなボーカルが強く耳に残ります。
ヒトリエから彼の世界観に入ってボカロに馴染みがない人でも、こういった曲を聴いたら「確かにwowakaだ」と感じられるのではないでしょうか。
ヒトリエとは違った作風の曲も
ボカロP時代とヒトリエ時代の曲には強い関連性を感じられますが、その一方で、今のバンドとは全く違う作風のボカロ曲もあります。
例えば、この「僕のサイノウ」はシンセサウンドをリードにした一曲で、速さも落ち着いたミドルテンポになっています。
ノスタルジックな歌のメロディや、それを歌う初音ミクの「機械」っぽさを強調した彼らしい調声は、バンドサウンドとはまた違った雰囲気を生み出しています。
アーティストとしての個性が発揮されつつ、ヒトリエとは違う魅力が感じられる曲です。
また、この「テノヒラ」は、ピアノを主体としたバラードソングになっています。
「ピアノバラードを作っていた」と聞くと、バンドからの彼のファンにとっては意外に感じられるのではないでしょうか。
ボカロ曲らしさ、彼らしさをしっかりと感じさせつつ、壮大で切ないサウンドやメロディに感情を揺さぶれる一曲です。
「僕のサイノウ」や「テノヒラ」といった今の作風とは大きく違う曲を聴くと、「ヒトリエのwowaka」だけではない、「ボカロPのwowaka」という彼の一面を感じられますね。
2017年、ボカロPとして活動再開したwowaka
そんな彼ですが、ヒトリエの結成以降、ボカロPとしては活動を停止していました。ところが、2017年8月、突然ボカロ新曲を公開して話題になりました。
それがこの「アンノウン・マザーグース」です。
聴いてみると、個性を活かしつつ、ひとつのバンドの中心人物として培ってきたアレンジセンスがしっかり注ぎ込まれて、「作曲者として正統進化を遂げて生まれた一曲」という印象を受けます。
曲展開やバンドアンサンブルにより複雑な深みが加わっていて、一発で記憶に残ってその後もくり返し聴きたくなるキラーチューンに仕上がっています。
バンド「ヒトリエ」のフロントマンと、ボカロ音楽の黎明期を築き上げたボカロP。
どちらか一方だけではなく、両方の顔を持ちながら彼が進化を続けているのを感じられたのではないでしょうか。
彼のボカロP時代を知らなかったファンの方は、この機会に是非聴いてみてください。
そして、バンドマンとしてもボカロPとしても、wowakaのこれからの活動に注目していきましょう!
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