「轟音系」ロックが一世を風靡した2000年代のバンドシーン
バンドシーンでは、流行の音楽性やジャンルが移り変わっていきます。
最近はMy Hair Is Badなどのストレートな邦楽ロックが、その少し前はシティポップが、2010年代前半は4つ打ちロックが……そして、そのさらに前の2000年代後半には、「轟音系」と言われる音楽性のバンドが一世を風靡しました。
今回は、今の20代半ば~30代の邦楽ロックファンにとっては懐かしく、それより若い世代のファンにとっては新鮮な、2000年代の「轟音系」ロックバンドを紹介します!
残響レコード
2000年代の轟音系ロックを語る上で欠かせないのが、名門インディーズレーベル「残響レコード」です。
ポストロックやエレクトロニカなどのジャンルを中心に、日本だけでなく海外アーティストの日本における流通やマネジメントも務めているこのレーベルは、2000年代半ばから後半にかけて、「残響系」と呼ばれるジャンルを確立するほどの人気を博しました。
「轟音系」という呼び方は「残響系」とほぼ同じ意味で語られています。
今も邦楽バンドシーンの最前線で活躍するバンドにも、残響レコード出身のバンドが数多くいます。
9mm parabellum bullet
泥臭いギターリフや歌謡曲をベースにした日本的なメロディで人気のロックバンド「9mm parabellum bullet」。
今では日本のオルタナティブロックシーンを代表するバンドのひとつとなった彼らですが、活動初期は残響レコードに所属していました。
そのサウンドは激しいギターを主軸にしたまさに「轟音系」と呼べるもので、良い意味で「ダサかっこいい」と評されているGt,滝のフレーズが耳に残ります。
楽曲の激しさをさらにヒートアップさせたような、全力の熱量で見せるライブも彼らの大きな魅力です。
cinema staff
アニメ「進撃の巨人」とのタイアップなどで今ではメジャーシーンの最前線で活躍しているcinema staff。
彼らも、残響レコードからのリリースでそのキャリアをスタートさせました。
重厚なリズム隊と2本のギターの絶妙な絡みで生み出される轟音、その中で響くVo.Gt.辻のハスキーな歌声が合わさって、独創的な世界観を生み出しているのがcinema staffの音楽の特徴です。
te'
日本の轟音系ロックの代表格ともいえるインストゥルメンタルロックバンド「te’」。
長く残響レコードを拠点に活動し、「残響レコードといえばte’」といっても過言はないバンドです。
楽器隊が生み出す重厚なアンサンブルと緊迫感あふれるエモーショナルな曲展開が彼らの持ち味で、日本だけでなく海外にも多くのファンがいることで知られています。
te’のギタリストの河野章宏は、残響レコードの代表も務めています。
People In The Box
日本のポストロック界を代表するバンドとして知られているPeople In The Boxも、残響レコードからのリリースで知名度を上げ、現在も残響レコードからマネジメントを受けています。
Vo.Gt.波多野の大人と少年の要素を併せ持った歌声と独特の詞世界が最大の魅力で、その世界観をストーリー性たっぷりに表現するサウンドも見どころです。
変拍子を多様した曲展開や、3ピースとは思えない文字通りの「轟音」で見せるライブでも知られています。
以上、2000年代の邦楽バンドシーンで一時代を築いた「轟音系」ロックと、その代名詞ともいえる「残響レコード」所属バンドを紹介しました。
特に9mm parabellum bulletやcinema staff、People In The Boxなどは現在メジャーシーンで活躍しているので、聴いたことがある方も多いのではないでしょうか?
今では大物バンドとして扱われることも多いバンドたちが作り上げた「轟音系」「残響系」と呼ばれる一大ブーム。
2000年代にまさにそれを体感した方も、リアルタイムでは当時を知らないバンドファンの皆さんも、ぜひ一度、この「轟音系」ロックバンドを聴いてみてください。
今の流行の軽快なロックとはまた違った、重たくて濃いオルタナティブサウンドは、一度ハマると酔いしれてしまうこと間違いなしですよ!
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