唯一無二のハイトーンボイスと洗練されたサウンド「mol-74」
画像出典:https://www.youtube.com/watch?v=S_5nc4rg0ss
京都を拠点に活動する4人組ロックバンド・mol-74(モルカル マイナス ナナジュウヨン)。
ハイペースな作品リリースやMV公開で、ここ最近の邦楽バンドシーンでぐんぐん注目度を高めているバンドです。
彼らの音楽の特徴は、何といってもボーカル武市和希の透き通るような歌声です。
唯一無二といってもいいファルセットのハイトーンボイスは、他のバンドとは一線を画す存在感を放っています。
そして、音数の少ない楽器隊のサウンドは、最小限のアンサンブルで曲と歌の世界観を最大限に引き出させるように働いています。
徹底的に洗練された空気感と曲展開の巧みさで聴く人を魅了するmol-74。
その楽曲の魅力に、実際に触れてみましょう。
エイプリル
まずは、mol-74の代表作的な一曲「エイプリル」を紹介します。
そのタイトル通り「4月」がテーマの曲ですが、出会いや始まりの季節としての4月より、旅立ちとともに過去と離れていく「別れ」の側面にフォーカスをあてた一曲となっています。
軽快なドラムと叙情的なピアノ、繊細に曲を色付けするギター、その中心で軸になるベースと、それぞれのパートが最小限の動きでストーリーを作り上げていて、その中で武市のボーカルがノスタルジックな情景を歌い上げます。
聴いていると昔の淡い思い出が脳裏に浮かび上がってきて、決して分かりやすく悲しい曲ではないのに思わず涙が出そうになる名曲です。
赤い頬
「赤い頬」は、mol-74の初期の代表曲として人気が高い曲です。
春真っ盛りを思わせる「エイプリル」とはまた違って、初春の朝のひんやりとした空気を感じさせるこの曲は、歌のメロディと全体のサウンドがまるでガラス細工のように繊細なバランスで組みあがっています。
そして、その中でセンチメンタルな感傷が描かれて、どこか悲しげな雰囲気が感じられます。
「涙は涸れる意味を実は知っててここにいるの」という意味深なキーワードが印象的で、幻想的な世界観の中で切ない別れのストーリーを想像させられます。
%
「%」は、ここまで紹介した2曲とは打って変わって、ポップで明るい雰囲気が印象的な一曲です。
さらっとしていて聴きやすく、mol-74らしいファルセットボーカルと空間をうまく使ったバンドアンサンブルもしっかり曲に表れている、アップテンポなキラーチューンとなっています。
サウンド面ではアコースティックギターのリズミカルなバッキング、明るいリズム感を演出する手拍子のサウンドが特徴で、洋楽の有名バンド「シガーロス」の「Gobbledigook」という曲からの影響が感じられるとファンからは評されています。
mol-74自身もシガーロスからの影響を公言していて、聴き比べると発見が多くあって面白いですよ。
▷(Saisei)
最後に、正規メンバーのベーシストとしてBa.高橋が加入した後の新曲「▷(Saisei)」を紹介します。
イントロからベースのアルペジオが印象的で、さらにそこに弓で弾くボウイング奏法を取り入れたリードギターが入るなど、かなりテクニカルなサウンド展開の曲となっています。
ベースも前面にがっつりと出てくることで、これまでの繊細なバンドアンサンブルを維持しつつもより表現力の幅が広がって、mol-74のさらなる進化が表れた一曲です。
「▷(Saisei)」というタイトル通り、まるで何かが始まる夜明けを描いているような曲で、聴いていると不思議な高揚感が湧きあがってきます。
この曲がリード曲になったミニアルバム「▷(Saisei)」は、他の曲も「| | (Frozen Time)」や「□ (StarT)」など、動画の操作ボタンのマークにちなんだタイトルの曲が揃っているので、そこも注目ポイントです。
いかがでしたか?
一度聴いたら忘れられない、確固たる個性を持ったバンド・mol-74。
どこまでもノスタルジックで繊細な音楽性は、邦楽バンドシーンの中でも異彩を放って注目を集めています。
これからの邦楽界で間違いなく大きな存在になっていくmol-74。
その作品や、これからの活動の動向に要注目です!
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