イツエというバンドが存在したこと
2010年9月に結成し、2015年10月までの5年間を活動してきたイツエ。紅一点のボーカルを要する男女4人組のロックバンドです。
結成1年目にして「RO69 JACK 2011」の入選アーティストに選ばれるなど注目を集めていました。自主レーベル「Dramatic db」の設立や自主企画ライブも積極的に行い、彼らの作る世界観は唯一無二のものがありました。
残念ながら現在は無期限活動休止中でライブを見ることはできません。しかしラストライブでメンバーが語ったように、イツエの音楽は永遠に生き続けています。
今回は活動していなくても新たなリスナーを獲得し続けてほしいと筆者が願っているイツエの音楽、軌跡を紹介します。
イツエと4人のメンバーたち
イツエは瑞葵(vo)、久慈陽一朗(Gt)、馬場義也(Ba)、吉田大祐(Dr)のメンバーで活動してきました。
初期のイツエは「静と動」をステージ上で表現するところから活動をスタートさせます。白い衣装を身に纏うボーカルの瑞葵が静、黒の衣装を纏う楽器隊が動。そのコントラストは妖艶な雰囲気を醸し出し、客を圧倒していました。
そこから活動休止まで、変化をしながら音楽を生み出し続けてきました。取っ付きにくい印象だった彼らが実は愛に溢れたバンドだったことが今ではよくわかります。
代表曲3つを紹介!
イツエの楽曲は素晴らしいものばかりなのですべてを聴いてほしい気持ちは山々です。
ですが今回は代表曲でもありMVも公開されている3曲を紹介したいと思います!
「言葉は嘘をつく」from『いくつもの絵』
イツエとして初めてのMVとなったのが「言葉は嘘をつく」です。2ndデモ『全部嘘だよ。』にも収録されていた初期からの曲でもあります。
インパクトのあるタイトルと真っ黒の背景、衣装のコントラストが印象的ですよね。
この頃から光っていた瑞葵の美しい歌詞と歌声、曲の世界を広げるギター、ボーカルに負けじと歌うベース、それらの隙間を繋げて背景を作るドラム。4人が唯一無二のバランスで音楽を作っていたことが感じることができる1曲です。
「海へ還る」from『優しい四季たち』
次に紹介するのは2つ目のMVとなった『海へ還る』です。これは瑞葵が故郷であるいわきの海をイメージしたと語る曲になっています。
「感じるのは重力くらいで それぐらいでいいと思う」という歌詞に何度も救われました。バンドとしてのサウンドはそのままに、より愛情を深めた曲に作られているように思います。
取っ付きにくいイメージとは裏腹に、愛に溢れた音楽を作っていることを知ってもらえたら嬉しいです。
「ネモフィラ」from『「今夜絶対」』
3つ目のMVは「ネモフィラ」です。これは会場限定で配布された3rdデモ『すべての朝へ』にも収録されています。
ドラムが刻む3拍子のリズムと、ギターとベースがユニゾンする間奏が気持ちよく聴けます。歌詞はストーリーを想像できるようなものになっているので、それを考えながら聴いてほしい曲でもあります。
最後のサビ前の手拍子はライブでお客さんも一緒にするのが定番となっていました。
音源に負けないライブバンド
MVを見て音源の素晴らしさは感じてもらえたと思います。ですがこのような歌声が美しく楽器の音も分厚いバンドはライブの質を上げるのが難しいことが多いですよね。
イツエはそんな心配が一切必要ないようなライブバンドでした。CDを聴いて期待を高めてライブに行くと、そのクオリティの高さに驚かされます。筆者がイツエのライブに行き初めてすぐの頃は行くたびに圧倒され感動させられ、泣きながら聴いていました。
今は活動をしていないのでライブが見られにのが残念ですが、SoundCloudにラストライブの音源がアップされています。それを聴いて少しでもライブでのイツエも体感してみてください!
筆者のバンドレビュー
筆者がイツエと出会ったのは2ndデモが発売されたばかりの頃でした。約5年に及ぶ活動の大部分を見てきて感じたことは、1人の人間の成長を見ているようだったということでした。
愛情を持って言うのですが、初期のイツエはやはり取っ付きにくい印象でした。ですがもともと深い愛情を持ったバンドではあったのです。
だんだんと愛を伝える方法を覚えていき、「海へ還る」のような優しい曲を作れるようになったのだと思います。
今回は筆者が1番に大事にしているバンド・イツエのことを紹介しました。
イツエの音楽は今日も生き、聴く人の心に愛を届け続けています。
聴いたことがない人や聴くのを躊躇していた人も、この記事をきっかけにイツエを生活の一部にしてくれたら嬉しいです。
イツエ