バンドを通してリアルな人生を描く映画「ソラニン」
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宮崎あおい、高良健吾の主演で大ヒットした映画「ソラニン」。
バンドマンとその恋人の何気ない日常、その中で起きていく小さな変化、そして登場人物それぞれの葛藤が穏やかで優しいトーンで描かれるこの作品は、若い世代を中心に多くの人の共感を呼びました。
特に、バンド経験者にとっては、自分の人生や青春時代と重ね合わせられるストーリーが強く響く映画ではないでしょうか。
そんなこの作品の魅力を紹介していきます。
浅野いにおの人気漫画を実写映画化
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「ソラニン」は、浅野いにおによる人気漫画を実写映画化した作品です。
原作は全2巻で90万部を超える大ヒット作となっていて、ノスタルジックな雰囲気と切ないストーリーが魅力の名作として知られています。
主人公は、社会人2年目でOLとして働く芽衣子(宮崎あおい)。
恋人でバンドマンの種田(高良健吾)と同棲している芽衣子は、辛い仕事や将来への閉塞感を感じていました。
一方で種田は、大学時代からのメンバーの賢一(近藤洋一)やビリー(桐谷健太)と一緒に、芽の出ないバンド活動を続けながらフリーターとして暮らしていました。
芽衣子や種田、そして2人の周囲の人々は、人生に悩み、葛藤しながら、少しずつ前に進もうとあがいていきます。
どこまでもリアルで生々しい人間ドラマ、空気感まで伝わってくるような日常の描写、そして後半の切なすぎる展開が印象的な「ソラニン」。
若い世代、特に大学時代を軽音サークルなどに捧げた人にとっては、共感できるポイントだらけの映画です。
青春の「その後」の物語を描いた映画
「ソラニン」描かれるのは、音楽活動や大学生活に青春を捧げた人たちが、そんな青春時代を終えたあと、現実の社会の中でもがいていくストーリーです。
青春の、「その後」の物語とも言えます。
楽しいことだらけの、夢のような青春時代。
でも、そんな時間は必ず終わって、社会の中に出て一人の大人として生きていかなければいけなくなる日が来ます。
「音楽の夢」と「迫る現実」の狭間で葛藤して精神をすり減らす種田の心情は、音楽に夢を抱いた人なら、誰もが痛いほど共感できるのではないでしょうか。
一方で、社会人として辛いこともありつつも、平凡に働いていた芽衣子が勢いで仕事を辞めてしまう展開もリアルです。
何か特別なことがあるわけでもなく、ただ働き続けるという大人としての「普通」の毎日に閉塞感を感じてしまう気持ちは、実際に経験したことがある人も多いのではないでしょうか。
芽衣子や種田以外の人々も含め、登場人物のひとつひとつの言動、その裏にある心情がひたすらリアルで、キャラクターたちが「生きている」と感じさせてくれます。
主題歌「ソラニン」にも注目
この作品を語る上で欠かせないのが、原作中に出てくる歌詞にASIAN KUNG-FU GENERATIONが曲をつけた主題歌「ソラニン」ですよね。
アジカンの中でも屈指の名曲として人気の高いこの曲は、映画の中でも3ピース編成にアレンジされて披露されます。
原作者の浅野いにおが書いた歌詞にメロディを後付けして生まれたこの楽曲ですが、言葉のハマり具合、歌詞の情景を描き出すノスタルジックな曲調など、まるで元からそこにそのメロディがあったかのような一曲に仕上がっています。
映画の世界観を鮮やかに象徴して、クライマックスのライブシーンをより印象的にする、この映画に欠かせない主題歌です。
「ソラニン」で描かれる人間ドラマは、とにかくどれもリアルな熱を帯びていて、まさに「人生」を描いているストーリーといえます。
いつまでもはいられない「青春」という時期と、決して気楽で楽しいとはいえない大人の「現実」の狭間にいる芽衣子や種田。
彼らがどんなふうに葛藤し、どんな決断をして、その先にどんな結末が待っているのか。切なくも爽やかなラストには、風が吹き抜けるような後味のよさと、思わず涙してしまうようなノスタルジーが待っています。
青春時代の青々とした気持ちを思い出したいとき、とにかく切ない気持ちになりたいとき、人生に閉塞感を感じてしまったときは、是非この映画を手に取ってみてください。
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