感情を抉る鋭い言葉たち 「カンザキイオリ」
画像出典:https://www.youtube.com/watch?v=0HYm60Mjm0k
ボカロ音楽界でここ最近注目を集めているボカロP・カンザキイオリ。
活動開始は2014年でしたが、ある一曲が話題になり、一気に人気ボカロPの仲間入りを果たしました。
ピアノサウンドを主体にした疾走感あふれる曲調と、言葉数の多い真に迫る歌詞が持ち味のカンザキイオリ。
その曲は、聴いていると大切なことにハッと気づかされたり、重くシリアスなメッセージに胸を締めつけられるような感覚になります。
心に強く響いて感情を抉ってくるカンザキイオリの曲を実際に聴きながら、その魅力を体感していきましょう。
命に嫌われている。
まず紹介するのは、カンザキイオリが注目を集めるきっかけになった一曲「命に嫌われている。」です。
一番の注目ポイントは何といっても、言葉の波で聴き手を圧倒するような、メッセージ性の深い歌詞です。
あまりにも命を好き勝手に語って弄ぶ人間に対して、そんな私たち人間の方が「命に嫌われている」と歌うこの曲。
生きる意味、「死にたい」と思うことの意味、そんなことを考えてぐちゃぐちゃになる感情を超えて「生きろ」と強いメッセージを投げかけてくる詞は、圧倒的なインパクトをもって聴き手の心にぶつかってきます。
この歌詞に多くの人が感情を揺さぶられて、ネット上で話題が広まったことで、曲と合わせてカンザキイオリも一気に知名度を上げました。
2018年5月現在で、YouTubeでは300万再生を突破しています。
自由に捕らわれる。
次に紹介する「自由に捕らわれる。」も、歌詞の力強いメッセージに頬をはたかれたような気分になる一曲です。
タイトルからも分かるように、こちらの曲のテーマは「自由」。
周りから言われたとおりにしていれば生きていけた子どもの頃から打って変わって、ある日突然「これからは自分で考えて自由に生きろ」と言われたときの心情を歌っている曲です。
子どもと大人の狭間の時期に、こんな考えを持ったことがある方も多いのではないでしょうか?
ある日急に与えられる自由に「捕らわれる」という言葉を選ぶ感性が印象的ですね。
そんな歌詞の物語を彩る、シリアスながらキャッチーさも併せ持ったサウンドやメロディにも注目です。
君の神様になりたい。
「君の神様になりたい。」は、カンザキイオリの創作者としての想いを吐露したような一曲です。
静と動の変化が印象的な曲展開の中で、「誰かを変えるような曲を作りたい」という気持ちと、創作者として何者かになりたいという気持ちが揺れ動き、そんな自分を自虐的に笑っている歌詞が歌われます。
男性声を意識したような低めの初音ミクの調声も、カンザキイオリ自身に似せてあるように感じられます。
嘘のない真っすぐな本音だからこそ、ストレートに響いてくるメッセージが記憶に残る一曲です。
「命に嫌われている。」アルバムクロスフェード
最後に、カンザキイオリ自身がボーカルを務めた自主制作ミニアルバム「命に嫌われている。」のクロスフェードを紹介します。
表題曲にもなっている代表作「命に嫌われている。」を含む4曲が収録されていて、疾走感あふれる「命に嫌われている。」「ロマンチック願望」「独白」の3曲から切ないミドルナンバーの4曲目「きっと言う」まで、どれもカンザキイオリの世界観が表れた名曲揃いとなっています。
作曲者として歌詞に込めた感情をそのままぶつけるような、シリアスな歌声も印象的です。
現在はダウンロード販売で手に入れることが可能になっているので、気になった方は是非手に取ってみてください。
ここまで紹介した動画を聴いていただければ分かるように、カンザキイオリの最大の魅力は、聴き手の心を容赦なく揺さぶって感情を抉る、歌詞の強いメッセージ性です。
そして、そんな歌詞の世界観を形作るメロディやサウンドも、真に迫る雰囲気と音楽としてのキャッチーさを併せ持っていて、楽曲としてしっかり聴きやすくなっています。
ピアノの旋律が印象的なバンドサウンドには、カンザキイオリ自身も影響を受けたことを公言している「amazarashi」に通じるところがありますね。
そんな世界観を武器に、カンザキイオリがこれからどんなメッセージを聴き手に届けてくれるのか、期待が高まります。
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