「人工知能」で大きく変わっていくDTM（宅録）の世界

個人が自宅に録音・編集機材を揃えて、主にパソコンを使って音楽制作をする「DTM（Desk Top Music）」。

昔は一部のコアな音楽ファンのための、お金も手間もかかる趣味だったDTMですが、機材や技術の発達によって、今ではかなりお手軽な創作活動として広まっていますね。

打ち込み音源や編集ソフトが進化したことで、個人レベルの設備でプロ顔負けの作品を仕上げることも可能になりました。

 

特に最近は、「人工知能（AI）」を搭載した編集ソフトが大きな話題になっています。

アマチュアクリエイターにとってハードルの高い作業であるミックスやマスタリングを人工知能がサポートしてくれることで、DTM初心者でも作品のクオリティをぐっと上げることができるようになりました。

 

そこで今回は、今話題の「人工知能を搭載したDTMソフト」を紹介します！

画像出典：https://www.amazon.co.jp/dp/B076J6F5Z2

 

まず紹介するのは、「人工知能ソフトといえばここ」と言えるブランド・iZotopeから発売されている「Neutron2」です。

2016年にリリースされた「Neutron」が、2017年に「Neutron2」としてバージョンアップしました。

 

DTMでも難関の「ミキシング」という工程。

それぞれのトラックにEQやコンプレッサーなどのプラグインをかけて音を整えて曲全体を形作っていく、繊細なバランス感覚とセンスを要求される作業ですよね。

 

Neutron2は、そのメインの工程である「トラックの編集」をぐっと楽にしてくれます。

なんとこれ、「各トラックにNeutron2を挟んで音を解析させてくれるだけで、それが何の楽器のサウンドか・どんなサウンドかを判断して、自動でEQやコンプレッサー、エキサイターなどをかけてくれる」というものすごいプラグインなんです。

この「トラックアシスタント」と呼ばれる機能によって、これまでは各自が勉強して練習していくしかなかったミキシングの工程で、人工知能がかなりの部分の作業を受け持ってくれることになりました。

 

さらに、バージョンアップ版となっている「Neutron2」では、前バージョンよりさらに調整の自由度が広がりました。

以前は人工知能の解析任せだった「何の楽器のサウンドかの判断」を、操作する側が「ボーカル/ギター/ピアノ」などと指定できるようになりました。

さらに、調整の割合も、「原音を重視してナチュラルに仕上げる」のか「がっつり編集して音を作り込む」のか選べるようになりました。

人間が操作できる部分と人工知能へお任せする部分のバランスがとれて、より使いやすくなっています。

画像出典：https://www.amazon.co.jp/dp/B076J5W88S

 

同じくiZotopeからリリースされている「Ozone8」も、人工知能の搭載で話題になった編集ソフトです。

 

こちらはマスタリングの工程をAIに任せることができるようになっていて、ミキシングの終わった2mix音源をこのOzone8に読み込ませるだけで、Neutron2と同じくEQやコンプレッサー、リミッターなどを自動でかけてくれます。

その精度はかなり高評価で、「Ozone8を読み込ませるだけで音源の質感が段違いに良くなる」と絶賛する声がインターネット上で多く出ています。

 

さらに、このOzone8はマスタリングの仕上がりのイメージについても細かく指定できます。

たくさんのプリセットから仕上がりのイメージを指定できて、「強めに編集して音圧をしっかり上げる」「軽めに編集してナチュラルな質感にする」といった調整具合についても選ぶことができます。

「CD収録用」「ストリーミング配信用」など、音源の利用目的にまで合わせられるようになっているのも、現代ならではの嬉しい仕様ですね。

いかがでしたか？

「Neutron2」と「Ozone8」によって人工知能の技術が取り込まれたことで、数年前ではありえなかったような形でのDTMが可能になりました。

 

このようなソフトが使われることには賛否両論がありますが、「楽曲製作」がメインのクリエイターにとっては、本来やりたい作曲・編曲とはまた別の作業であるミックス・マスタリングの工程を大幅に短縮できるのは画期的ではないでしょうか。

また、エンジニアにとっても、細かい調整をしていく前段階の下処理をしてくれる時短ツールとして使う、という活用方法も考えられますね。

 

ソフトウェアとのうまい付き合い方を考えながら、より快適で効率的なDTMライフを作っていきましょう！