曲名？バンド名？文章みたいな名前のバンドまとめ

ロックバンドの名前には、時代ごとに傾向がありますよね。

以前は英単語を組み合わせた名前が人気でしたが、2010年代に入ってからは、ちょっと変わった名前のバンド名が目立つようになってきました。

中には、YouTubeなどで見たときに「これ、どっちが曲名でどっちがバンド名？」と一瞬悩んでしまうようなバンド名も多く見られます。

今回は、そんな「文章みたいな名前のバンド」を紹介していきます。

最初に紹介するのは、文章バンド名の代表的な存在「それでも世界が続くなら」です。

その音楽は報われない立場の人たちを主人公にした楽曲が多いのが特徴で、重苦しいストーリーの中で小さな意地を張る、儚い強さが見られます。

そんな曲の世界観も合わさって、「それでも」という逆接から始まって「なら」という仮定形で終わるバンド名からは、諦めのなかにも未練という形でかすかな希望を見出しているような雰囲気があります。

鹿児島発・4人組オルタナティブピアノロックバンド「テスラは泣かない。」も、その音楽だけでなく個性的なバンド名でも注目を集める存在です。

ゴリゴリのオルタナティブサウンドの中にアクセントとして叩き込まれるピアノの旋律、そして歌謡ロックの要素も強いリズミカルなボーカルが印象的で、激情的に踊らされる楽曲の数々はインパクトがあります。

コミカルな音楽性が特徴の4人組ダンスロックバンド「君がそうなら僕はこう」も、バンド名が印象的ですね。

バンド名だけでなく曲名やアルバム名にもインパクトがあるのが彼らの特徴で、「集客ヤバイ節」、「解散までにしたい10のこと」、「ステージ降りたら一般人」など、インディーズバンドの悲壮をポップなメロディと歌詞に落とし込んだ世界観が楽しいバンドです。

「17歳とベルリンの壁」は、男女ツインボーカルの4人組シューゲイザーバンドです。

そのバンド名は、「17歳」という絶妙な年齢の頼りなさと「ベルリンの壁」というシニカルなワードが組み合わさって、どこか異世界的な響きが生み出されています。

シューゲイザーやドリームポップ、インディーロックの影響を受けた楽曲は、青春の爽快感と思春期の危うさが表れていて、心地のいい浮遊感にいつまでも浸っていたくなります。

次に紹介するのは、神戸発・ダウナー系プログレッシブロックバンド「こうなったのは誰のせい」です。

2017年にリリースされたミニアルバム「さよならノスタルジア」は、先に紹介した「それでも世界が続くなら」の篠塚将行がプロデューサーを務めたことでも話題になりました。

ダウナーな曲調が持ち味の彼らの楽曲は、自分の内面をひたすら見つめて吐露する言葉と、諦めや気だるさを感じさせる温度の低いメロディが心を揺さぶってきます。

そんな世界観を彩る、決して激しくはないのに気持ちを掻きむしるテクニカルなギターリフも印象的です。

今回紹介する中でも最長の文章バンド名をもつのが、福岡のインストロックバンド「如何に崇高な精神といえども、顔面が伴わなければ『彼女』はできない。」です。

あまりに長いバンド名のため、YouTubeでは動画タイトルが「…」で中略されています。

歪んだギターとベース、重たいドラムが不穏な響きで絡み合う音楽性は、残響レコードなどのポストオルタナティブロックが好きな人にとってはたまらないものとなっています。

佐賀県発の4人組オルタナティブロックバンド「もう二度と逢えない私へ」も、まるで手紙の書きだしのようなバンド名が印象的です。

その歌詞は、暗い言葉選びの中にもなんとか一歩踏み出すような力強さがあって、感情をぶつけるようなボーカルも合わさって胸に響いてきます。

そんな曲のメッセージ性を支える、ギターを主軸とした激情サウンドにも注目です。

以上、まるで曲名や文章のようなバンド名のバンドたちを紹介しました。

こういったバンド名は「変な名前のバンド」と話題にされることもありますが、どれも文の生み出す空気感やニュアンスがバンドの音楽性を描いていて、考え抜いてつけられた名前だと分かります。

バンド名の由来や意味も想像しながら、その音楽を聴いてみてください。