「DOES」バンド活動休止の原因を探る
人気アニメ”銀魂”とのタイアップ曲が話題となり、一気に人気バンドへと躍り出た”DOES”。
デビュー10周年を迎える2016年の9/1に無期限の活動休止を発表しました。
実写版銀魂のOPテーマにも選ばれるのではないか!?と話題になっていたこのタイミングでどうして休止することになったのか。原因を探っていきます。
DOESというベテランバンド
まずは、今回活動休止を発表したDOESがどのようなバンドなのかご紹介します。
メンバーは氏原ワタル(Gt.Vo長崎出身)、赤塚ヤスシ(Ba.宮崎出身)、森田ケーサク(Dr鹿児島出身)の3人。2000年に、福岡で結成されました。
インディーズ時代は福岡ので着実にライブを重ね、その硬派な音楽性が人々の心を掴み、徐々に人気になっていきました。これだけ硬派なロックバンドなのに、当時はライブハウスではなく、クラブハウスを中心に活動していました。それも有名になった原因の1つでしょう。
そして、結成から6年後の2006年、福岡を代表するクラブ”DECADENT DELUXE”で絶頂天「DOES福岡在住LAST LIVE」を行いました。
ちなみに、DECADENT DELUXEは残念ながら2012年に閉店しましたが、絶頂天というライブイベントは今も福岡で続けられている上に、絶頂天のメンバーは2008年に”public space 四次元”というライブハウスまで作っています。福岡のインディーズバンド界隈は昔も今も熱いんです!
福岡ラストライブを行った後にすぐさま上京しデビュー。2006年9月にはメジャー1stシングル「明日は来るのか」をリリースしました。
結成からデビューまで6年の月日を要しました。遅咲きのデビューです。そのときのメンバーの年齢は20代後半でした。
だからこそデビューの翌年、翌々年にリリースされた「修羅」や「曇天」のような落ち着いているけど、疾走感のある硬派なロックを作ることができたのだろうと思います。そしてそれらの楽曲は爆発的に売れました。
人気アニメ”銀魂”とのタイアップで有名に
DOESを語る上で、週刊少年ジャンプで連載中の人気アニメ”銀魂”とのタイアップの話は欠かせません。
2007年にリリースされた4thシングル”修羅”がエンディングテーマに、2008年リリースの”曇天”がオープニングテーマに選ばれ、シンプルながらも単純にかっこ良く覚えやすい楽曲で、一躍有名になりました、
“修羅”も”曇天”もシンプルで演奏しやすいこともあって、初心者バンドが好んで演奏しますよね。特に曇天はモンゴル800の”小さな恋のうた”と同じく、文化祭で初めてライブするようなバンドの定番曲になっています。定番曲となったことで、それまでDOESを知らなかった人たちにも名前を知られる機会が増えましたね。
また、どちらの楽曲も、カラオケ定番曲になっています。常に月間カラオケランキングの1000位以内に入り続けているくらいです。
その後も”銀魂”を含むアニメのタイアップを重ね、元々の硬派なロックファンだけではなく、女性からの支持も得て、ファン層を拡大していきました。
そして、ここに活動休止の原因があるのではないかと思っています。
アニメのタイアップは売れる、しかし…
基本的に、アニメは1クール=12話で放送されます。つまり、アニメのタイアップが決まれば、最低12回は全国の不特定多数の人々に自分たちの音楽を聴かせることができるのです。
アニメのオープニングだと、そのアニメの映像と一緒に曲が流れるので強烈に印象が残りますよね。DOESの場合は、銀魂の世界観と修羅・曇天の世界観が非常にマッチしていたということもあって、視聴者の頭にがっつりと印象に残りました。これが一気に売れた原因です。
アニメの映像とセットで印象が残ることによって、タイアップの楽曲は非常によく売れます。それこそびっくりするくらいに。
実際にどれくらい売上が変わったのか、DOESのタイアップ前後の売上を比較してみます。
- 4thシングル「修羅」 オリコンチャート最高9位
- 5thシングル「サブタレニアン・ベイビー・ブルース」オリコンチャート最高200位
- 6thシングル「曇天」オリコンチャート最高3位
- 7thシングル「陽はまた昇る」オリコンチャート最高64位
- 8thシングル「世界の果て/トーチ・ライター」オリコンチャート最高59位
- 9thシングル「夜明け前/チョコレート」オリコンチャート最高89位
- 10thシングル「バクチ・ダンサー」オリコンチャート最高3位
いかがでしょうか。「修羅」「曇天」「バクチ・ダンサー」の3曲の売上が明らかに突出していますよね。これらの曲は全て銀魂のタイアップ曲なんです。
もちろんいい曲を作っているということが大前提ですが、ここまで露骨に売上が違うとバンド側としてはちょっと複雑な気持ちになりませんか?
しかし、あまりにも楽曲が銀魂の世界観とマッチしていて、そこから有名になったため、いつしかDOES=銀魂のOPのバンドというイメージが付きまとっていたのではないでしょうか。
全ての楽曲の作詞作曲を手掛ける氏原ワタル氏は活動休止を発表する際のコメントでこのように語っています。
1、2年前からずっと、自分の違う可能性を試したい、自分の音楽により向き合うことに挑戦したい、という気持ちが日々、日々高まっていました。
もしかすると氏原氏が「DOES=アニソン」というイメージを一度捨てて、自分の音楽だけを評価してほしかったのが活動休止の原因なのではないかと思います。
他の2人のコメントを見る限りでは、休止を言い出したのは氏原氏なのではないかと感じました。制作者として、音楽人としてアニメのタイアップで有名になったことへの葛藤を抱えたまま活動していたのかもしれません。
もちろん、FLOWみたいに数多くのタイアップを行い、日本だけではなく、海外での人気まで獲得したバンドもいます。こればかりはそれぞれの想いがあるので、良いことなのか悪いことなのか分からないですね
活動休止からの復活はあり得るのか
今回のコメントでDOESベーシストの赤塚氏は
次の始動がいつ、どのタイミングになるのかはまだ未定ですが、僕らの音楽を、そして世に溢れている素晴らしい音楽を聴きながら、また会える日を心待ちにして頂けると幸いです。
と語っています。このコメントを見る限りでは、バンド活動再開もあり得るのではないかと期待してしまいますね。
例えばHi-STANDARDは1991年から活動を開始し、人気絶頂の2000年に突然活動休止を発表しました。様々な原因が推測されましたね。約10年間の活動期間でした。今回のDOESと似ていますね。
そして活動休止期間中、メンバー同士の仲も険悪になっていき、復活は絶望的だと言われていて、ファンの間には諦めムードが漂っていました。。
しかし、2011年、東日本大震災が発生し、暗くなった日本を盛り上げていこうと、Hi-STANDARDは再結成し、主催フェスAIR JAMも復活しました。
このように、メンバー間の関係が険悪になっても復活した大きな大きな事例があります!
今回、メジャーデビュー10周年を機に、無期限の活動休止を突如発表したDOES。人気アニメとのタイアップをきっかけに有名になりましたが、活動している間は常にアニメのイメージがつきまとってくることに葛藤があったのではないかと思います。
そして一度、そのイメージを捨て去って、自分の音楽だけで戦いたいと思ったことが今回の突然の休止発表の原因なのではないでしょうか。
しかし、Hi-STANDARDやTHE YELLOW MONKEYなど、長く活動を休止していたバンドも最近ではどんどん復活している例もあります。
DOESがパワーアップして活動を再開することを楽しみに待っていましょう!
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